Data.2-12

「第一次戦闘配備に就け!」

間髪入れない次郎の声に、
第一艦橋の空気が一変した。

「ジェラ=ディーは我々に対し
 友好ではなく、挑戦状を叩き付けて来た。
 古代艦長の身柄の安全を確保し次第、
 我々はジェラ=ディーに宣戦布告を出す!」
「そう来なくっちゃ!
 彼奴等、胡散臭いと思ってたんだっ!!」
「小林、コスモパルサー隊の出撃準備を急げ。
 その際、救命艇を派遣するから其方の準備も」
「勿論です、副長!!」

好戦的な小林にしたら、
よく此処迄我慢出来たものである。
待ってましたとばかりに第一艦橋を後にした彼は
この後の激闘を知る術も無いだろう。

「奴等がどんな攻撃に転じるか判らん。
 戦闘班は主砲の準備を急いでくれ」
「島副長、波動砲は…」
「波動砲を使えば…惑星に甚大な被害を与える。
 使うタイミングだけは間違えてはいけないんだ、上条」
「…じゃあ」
「ただ、奴等が宇宙空母で出てくればチャンスが生まれる。
 徳川さん。機関室に至急伝令を」
「承知しました、副長。
 何時でも撃てる様、準備を整えてきます」
「お願いします」

迅速に、尚且つ的確に。
各員に指示を出していく次郎の姿は
何処と無く古代のそれを髣髴とさせる。
軍隊に所属しているとは云え、
次郎の戦場経験は上条の調べた情報から推察するに
これが初陣の筈であった。

『もっとおっとりした人の筈なのに…
 何だよ、今のこの姿?
 まるで別人じゃないか……』

次郎を替えた理由は容易に推察出来る。
ただ、余りにも容易に推察出来るが故に、
上条の心は穏やかになれなかった。

* * * * * *

ボンヤリとしたとした視界が、
徐々に鮮明になっていく。
気配は数人感じ取れた筈だが
目の前に立っているのはパラチオン唯一人。

『先程迄 聞こえた声は一体…?』

古代は更に目を凝らして見る。
確かに人物はパラチオン一人だけだ。
だが彼の口から様々な声色が吐き出されている。

「さて、コレの始末は?」
「処刑は【キューヴ】に任せれば良い」
「成程、それは面白い嗜好だ」

『キューヴ…?』

聞き慣れない単語。
だが、存在が何であるのかは
直に判る事となる。

「古代艦長…どうかね?
 我々の持て成し、気に入ってもらえて光栄だよ」
「……」
「ヤマト…だったね。気に入ったよ。
 私のコレクションの一つにしてあげよう」
「…だ、誰が……っ」
「ほぅ…その状態でも威勢を張れるか。
 なかなか感心な素体だ」

パラチオンはそう言って鼻で笑いながら
サイコロ大の白い物体を古代の目の前にチラつかせる。
これが【キューヴ】の正体であった。

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SITE UP・2010.6.12 ©森本 樹


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