| Data.2-14 |
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いよいよ飛び立つその時を迎え、 慣れた制服に袖を通した旧ヤマトクルー達は 互いの無事と再会を心から喜んでいた。 ヤマト退艦後、多くのクルーは若手育成の道を選んでいた。 どんな事が遭ってもこの星を守れる様にと。 カスケードブラックホールの襲来で、失い掛けた誇り。 それを取り戻してくれたのは…やはり、ヤマトであった。 ヤマトを守る為に。 彼等が集結した理由は、それだけである。 「それにしても南部さん…。 本当に良いんですか? その……」 「財閥はもう息子に任せてある」 「し、しかし……」 「南部の後釜は幾らでも居る。 しかし、【砲術班長の座】だけは… まだ誰にも、譲る気はない」 「南部さん……」 「お前もそうなんだろう、太田?」 南部 康雄に促され、太田 健二郎は思わず笑みを浮かべた。 幸せな生活を守りたい。 その気持ちに偽りは無かった。 だからこそ、今 自分は此処に居る。 愛する妻を、子供達を、 彼等の生まれ育ったこの星を。 大切なこの場所を守る為に 再び自分達は此処へ戻ってきた。 紛れも無い。 自分達の【意志】で。 「こうしてこの第一艦橋で 成長したお前達の姿を見られるとは…。 先輩として、感無量だよ」 南部の瞳は優しく、頼もしき後輩達に向けられる。 航海長、北野 哲。戦闘班長、土門 竜介。技師長、新米 俵太。 ブラックパルサー隊隊長、坂本 茂。副隊長の揚羽 武、加藤 四郎。 そして…レーダー班長の真田 澪。 機関長に山崎 奨が入り、一層の纏まりを感じる。 このメンバーを集めるだけでも大変な事だっただろう。 それを可能にしたのは、一重に。 「艦長…」 「皆、揃った様だな」 「はい、乗船辞退した者は1人も居ませんでした」 「そうか…。判った」 帽子を深く被り、白く立派な髭を携えた男は 紛れも無く艦長服を身に付けていた。 躊躇する事無く、艦長席へと腰を掛ける。 そして、誰もがそれを【当然】と見守る。 「澪、ヤマトの現在地は?」 「プロキオ星系、第4惑星のレガシー大気圏内です」 「惑星レガシー…」 「艦長、何か…?」 「山崎さん。波動エンジンは動作可能ですか?」 「はい、艦長。運行に関してのトラブルは見受けられません」 「では、総員配置に就け。 今よりムサシは、ヤマトを追ってレガシーへ向かう」 「了解! 各員、配置に就け!!」 馴染みの席に逸早く着いた通信班長の相原 義一が 持ち前の澄んだ声で艦内にアナウンスする。 いよいよ、始まる。 もう一つのヤマトの物語が。 |