Data.2-18

ヤマト第一艦橋内。
次郎は中西に命じ、
音声をメインモニターに移動させた。
そして彼等も又
この巧妙な【カラクリ】に気付いたのだ。

「騙しやがったな…。畜生っ!!」

郷田の叫びが心に響く。
だが、彼等の話が『全て事実』であるとすれば…。
間も無く惑星レガシーは消滅してしまうのである。
もう、時間は殆ど無い。

「小林!」

次郎は格納庫に待機している
小林以下コスモパルサー隊に伝令を飛ばした。

『はいよ! 聞こえてるぜ、副長!』
「救命艇を2隻派遣する。
 コスモパルサーで先導しながら
 護衛についてくれ」
『了解! 着陸ポイントは?』
「中西が既にデータを転送している。
 ナビゲーションシステムを起動させ、
 それに従って目的地に向かって欲しい」
『OK!』
「但し、敵がどう出てくるかが読めない。
 何時でも反撃出来る様に備えてくれ」
『言われなくてもバッチリさ!』

小林は少し苦笑を漏らしていた。
やがて小さく『了解』と告げると
そのまま小林の通信は終了した。

「副長…」

メインモニターを静かに見つめる次郎に
徳川がそっと声を掛けてくる。

「良いんですか、副長?
 一緒に行かれなくても…」
「俺は…」
「……」
「俺は、ヤマトの留守を預かる身です。
 だから…此処で、ヤマトで……待ちます」
「島副長…」
「心配をお掛けして、済みません…」

少し哀しそうな表情を浮かべながら
次郎は笑みを浮かべている。
徳川も又、何も言う事無く静かに頷いた。

* * * * * *

操縦桿を握る手が少し震えている。
怖いのではない。
死地は何度も潜り抜けて来たのだから。

では、この震えの正体は何だ。

「武者震い…か」

誰に告げる訳でもなく、
勝手に口から漏れ出た独り言。

この瞬間を待っていた。
心の何処かで、戦乱を期待していた。
そう、自分は【戦士】なのだから。

好戦的で血の気が多い自分を
隊長に推薦した坂本教官の意図は
未だに理解出来ないままだが。

彼は確かにこう言って
自分を戦地に送り出した。

『運命を生かすも殺すも
 貴様の心根一つだ』

「生かすも殺すも…俺次第、か」

隊長職に就き、実際に戦地へ出てから
その言葉の意味を少しずつ意識する様になった。
命令一つで部下を生かす事も殺す事も出来る。
その恐ろしさを。

「だけど…まだ意味が有るんだろうな。
 あの時の教官の目は…マジだったし」

通信アラームが激しく点滅している。
救命艇の準備も完了したのだろう。

「各員に告ぐ!
 これより古代艦長の救助に向かう。
 我々の第一の目的は敵の殲滅ではなく
 救助だと云う事を忘れるな!」

まるで自分に言い聞かせる様に。
小林は隊長としての自分を
少しずつ冷静に見れるまで
成長していたのかも知れない。

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SITE UP・2010.6.18 ©森本 樹


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