| Data.2-19 |
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古代は残り僅かとなった レガシーの民一人一人と 目を合わせ、言葉を交わしていた。 彼等の御蔭で、自分は今此処に居る。 そして彼等も又、 古代との出会いによって 【生きる】と云う選択肢を得た。 「古代様、宇宙ってどんな感じなの?」 「これ、リゲル!」 「だって……」 デネボラに窘められたのは 美雪と歳が近いだろう少女である。 名前はリゲル。 活発そうな瞳がキラキラと輝いている。 未知なる宇宙に興味を抱くその姿は 昔の自分達を思い起こさせた。 「古代、で良いよ…リゲル。 宇宙は広い。 きっと、見たら驚くさ」 「広い…世界なのね」 「あぁ…とても広大で、そして…」 そう言い掛け、古代はハッとする。 胸の通信機が点滅していたからだ。 「此方、古代。 中西だな、どうした?」 『此方ヤマト、中西です。 たった今、救命艇を派遣しました。 艦長、そのまま地上に出てこられそうですか?』 デネボラに事情を説明すると、 彼は何も問題無い事を古代に返答した。 「あぁ、此方は大丈夫だ。 到着予定時刻は何分後だ?」 『5分後には目的地点に到着します』 「了解した。それ迄には目的地点へ向かう」 やがて通信が途絶えると デネボラは静かに頷き、一族を促した。 「さぁ、新たな舞台の幕開けだ。 母なるレガシーの分も、 我々は命を繋ごうぞ!」 「おぉーーー!!」 この時、古代はレガシーの民が上げる 生命の雄叫びを確かに聞き届けていた。 艦長不在のヤマトが こんなに静かな物だとは知らなかった。 医務室から廊下を見つめ 美雪は1人、溜息を吐いている。 慌しそうな喧騒を余所目に ボンヤリしている自分が滑稽で。 「…島さんは、忙しそうだし」 普段なら、どんなに多忙でも そっと医務室に顔を出してくれる。 彼の細やかな気遣い、優しい心配りに 美雪は確かな愛情を感じ取っている。 彼が自分にこれだけ優しくしてくれているのは 【古代 進の一人娘】としてかも知れない。 それでも、彼を想う気持ちは変わらないだろう。 そして…美雪だけが抱く想い。 「私…島さんの笑顔が見たい」 父、進と同様に悲しげな笑みを浮かべる。 そんな次郎の事が気になって、心配だった。 いつか、心からの笑顔を見せて欲しい。 強く、そう願う様になっていた。 「私…島さんの事が、好き…」 口に出して、更に認識する。 島 次郎の存在を。 ほぼ同時に乗船する事になったからか、 それとも父親との繋がりを意識していたからか、 そんな事は段々どうでも良くなってきている。 少なくとも次郎の存在が ヤマトの中に彼女の居場所を作り出した。 それだけは、確かなのだ。 「島さん……」 美雪はただ、願っていた。 いつか、次郎が自分の前で 心からの笑みを浮かべてくれる日を。 |