| Data.2-3 |
|---|
私は、【ヤマト】が嫌いだ。 こうして実際に乗ってみても、 やはり好きにはなれそうに無い。 どうしてかって? 知ってるから。 ずっとお父さんを苦しめてきた。 【ヤマト】がお父さんを追い詰めて、 地球で暮らせない様にしてしまった事。 私とお母さんから、お父さんを奪った事。 お父さんは昔から優しかった。 私が何か悪戯しても、大抵は笑っていたし いけない事を仕出かしても怒ったりしなかった。 怒るのはお母さんで、お父さんは心配そうに私を見てた。 「怪我しなかったか? 怖くなかったか?」 いつだってそう言って、頭を撫でて、抱き締めてくれた。 今だって本当は…お父さんの事が大好き。 口に出せなくなったのは…。 「美雪ちゃん、疲れた?」 薬品整理の最中、佐々木 美晴が心配そうに声を掛ける。 流石に数も多い。 一人では大変だろうと、美雪を気遣ってくれたのだ。 元々ヤマトには専属の医療スタッフが少ない。 美雪の存在は、それ故に大きかった。 「あ、大丈夫です! コレ位ヘッチャラですよ!!」 「流石は艦長の娘さんね」 「……」 「あ、蛇足だった…かな? 御免…」 「い…いいえ、そんな! だって、事実ですから!」 「ねぇ…美雪ちゃん」 「はい?」 「もし良かったら…聞かせてくれない?」 「…えっ?」 「貴女が…お父さんを避けている理由。 本当は…とってもお父さんの事を大切に思っているのに それを伝えられなくて苦しんでいる理由」 「……」 「話せたら、で良いから」 美晴はそう言って笑顔を浮かべた。 専門は外科だが、美晴は独自で メンタルクリニックも取り入れている。 艦医として何が必要か。 彼女は彼女なりに考え、悩み、そして見付けた。 戦時中だからこそ、何よりも【心】が大切なのだと。 「…先生」 「ん? どうしたの?」 「ヤマトは…どうして……」 「……」 「どうして今も、お父さんを苦しめるんでしょうか?」 「ヤマトが……」 「私が思い出す昔のお父さんは… いつも、哀しそうな表情で、苦しんでばかり。 今だって…とても辛そうにして…お酒ばかり呑んで…」 「…そうだったの……」 「私…だから…ヤマトの事、好きになれない…。 お父さんを…私の、大切なお父さんを……」 美雪の声が、涙で詰まる。 悔しさが溢れ出ているのか、固く握られた手が震えていた。 「…家族だからこそ解る、苦しみ…悲しみ……。 残された者だけ、いつも感じる…のよね…」 「…先生?」 「無情よね、戦争って…」 美晴も又、悲しそうに微笑んでいる。 その瞳の色は、確かに父 進の【それ】と同じであった。 |