Data.3-1

電算室では先程からずっと
真帆が引っ切り無しにキーボードを叩き、
ワープ先の検索に当たっている。

この広大な宇宙、
然も情報量が格段に少ないプロキオ星系で
更に限られた時間内で、
果たして理想的なワープポイントを
探し出せるのだろうか。

否、見つけ出さなければならない。
出来なければ間違い無く、ヤマトは沈む。

「もう少しだけ…
 あと少しだけでも、時間を……」

何時訪れるか判らない、惑星レガシーの最期。
その時が来る迄には、何としても。

真帆は必死だった。

* * * * * *

「皆さんのお部屋…
 此処になりますけど、大丈夫ですか?
 ユニフォームのサイズは…
 キツくないですか?」

生活班長としての第一歩。
美雪も又、必死だった。

「えっと…生活班の主なお仕事は…」
「班長さん。この畑は生活班が?」
「え? あ、そう。そうです」
「我々は大地と共に生きてきた民族。
 武器を取って戦う事は出来ませんが…
 この畑を肥やし、作物を実らせる事は得意ですよ」
「本当ですか! うわぁ〜、凄い!!」
「我々は持てる全ての知識と技術を
 皆さんの糧に捧げます。共に、戦いましょう」

宇宙人との交流はこれが初めての美雪だったが
彼等は少しも怖くは無かった。
地球人よりも大柄だが、素朴で優しい人々。
彼等が此処まで虐げられた事実は
彼女にとって、到底許されない事であった。

「絶対に…負けませんから。
 皆さんの新しい星、必ず…見つけ出しますから」
「班長さん。貴女は本当に…お父上に似ていらっしゃる。
 意志の強い、美しい瞳をされている」
「…え?」

デネボラの発言に、流石の美雪も驚いたらしい。
目を大きく見開き、声を失っている。

「自信を持って下さい、我等が班長。
 私達は何時だって、貴女の味方ですよ」
「あ…有難う御座います……」

祖父との交流が無かった美雪にとっては
デネボラとの会話は、正にそれを連想させた。

* * * * * *

「艦長……」

次郎はただ、その時を待っていた。
乗組員も全員、覚悟は出来ている。
このままで終われないのであれば
やはり、いずれは戦わなければなるまい。

そして、その決断を迫る自分の立場に
彼は歯痒さを抱いていた。

『大介兄さんも、こんな思いを胸に
 進の傍らに居たのだろうか…?』

自ら動ければ、決断を下せれば
却ってどれだけ楽だろう。

待ち構える運命の過酷さに
目を背ける事すら許されない。
それが、宇宙戦艦ヤマトの艦長。

『重過ぎる…。たった一人で背負うには』

彼の瞳は真っ直ぐに
艦長席に腰掛ける一人の男に注がれていた。

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SITE UP・2010.10.12 ©森本 樹

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