| Data.3-5 |
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ヤマトの艦体が大きく揺れる。 レガシーの変調を受け、空間湾曲が生じ 僅かながらではあるが 衝撃波と呼ばれるものが存在しているのだ。 「くぅ……っ!!」 舵を取る手に力が篭る。 まるで動かなくなった操縦桿の重さに 次郎は益々焦りを感じていた。 「副長…」 「…上条?」 「手伝ってやるよ」 左の操縦桿に上条の手が掛かる。 そして息を合わせ、 思い切り手前に操縦桿を引き付けた。 ヤマトの艦隊が少しだが安定し、 舵も随分と自由が利くようになったのは 乗組員全員が感じ取った事である。 「……」 古代は2人の姿を感慨深く見つめている。 そして、思い出していた。 最初の航海、イスカンダル星へ向けて旅立ったあの頃。 オクトパス星団を抜ける時、 やはり同じ様に力を合わせた事を。 『大介……』 今、此の艦に彼の姿は無い。 だが…先代航海長の思いは 今も尚、ヤマトと共に在るのかも知れない。 『お前が生命を賭けて守り抜いた船…。 今度はお前の弟が、同じ様に守ってくれている』 古代は確信していた。 大丈夫だ、このヤマトは沈まない…と。 「レガシーの意志よ、我が母よ…」 デネボラやレガシーの民達の祈りの声。 美雪はその思いを真直で感じ、心を痛めた。 地球人で此処迄母なる惑星に対し 心を砕き、思いを馳せた人間が居ただろうか。 その危機に際し、地球を離れた者の なんと多かった事か。 「どうして…地球は助かったのに… この人達の惑星が失われなくてはならないの…?」 余りにも理不尽な現実。 それに抗いたくても術の無い自分に 美雪は言い切れない苛立ちを抱えていた。 悔しさは涙に代わり、頬を濡らす。 「我が母の願い…我等が一族の存続…。 必ずや、新たな惑星に 我が一族の繁栄を叶えましょう」 デネボラの祈りの言葉が静かに響く。 その祈りを、願いを、誓いを 美雪も又、共に捧げていた。 レガシーの重力圏から少しずつ離れていく。 小さくなっていく、惑星レガシー。 古代の目は、それでもレガシーと 惑星に狙いを定めるが如く留まっている 不気味な巨大戦艦を視野に納めていた。 無慈悲に撃ち抜かれた惑星の数々を 古代の両眼は確りと見つめて来ている。 やがて戦艦の艦首部分が妖しく煌き始めた。 「島! 加速しろ!!」 「はい! 機関長、エンジンは?!」 「波動エンジン出力120%! フルに使えば逃げ切れる! 副長、頼む!!」 「了解! 最大出力で緊急離脱っ!!」 その時は来る。 もう、間も無く。 『必ず、逃げ切ってみせる。 そして…この屈辱は決して忘れない』 古代は奥歯を噛み締め、 転送されたヤマトの脱出ルートを 睨み付けていた。 |