| Data.3-7 |
|---|
「美晴さんッ!!」 次郎の叫び声に、流石の美晴も驚いたらしい。 だが伊達に医師ではない。 驚きは一瞬であり 古代の様子を一目見るや直ぐにベッドへと誘導した。 「次郎君、少し手伝って」 「勿論です」 「状況は?」 「恐らくは腹部からの出血かと。 敵に【キューヴ】なる物体を埋め込まれていたらしく、 それが発芽した所為かも知れません」 「キューヴ?」 「えぇ。残念ですが、それ以上の事は…」 苦しそうに呻く古代の様子を見ながら 次郎は本当に悲痛な表情を浮かべていた。 「キューヴの事でしたら… 我が一族に、薬師が居りますので…」 「デネボラさん…」 「イーグァー、お前の出番だ。 先祖より代々受け継ぎし、キューヴ駆除の術。 古代艦長をお助けする為にも、存分に果たすのだ」 「勿論で御座います」 2mは軽く越す体躯の青年は 屈託の無い笑みを浮かべて自信有りげに答えた。 幼い顔立ちからは窺い知れぬが 彼は医師として相当の腕を持ち合わせているらしい。 「少々手荒な技であります故に、 出来ましたら婦女子の方々には御退室願えればと…」 「あら、医者の私でも?」 「どうしても、と仰るのであれば 俺はお止めしませんが……」 イーグァーのこの一言で美晴は何かを察したらしい。 静かに頷くと、次郎の肩を軽く叩いて 自ら医務室を後にした。 「急がなければなりません。 古代艦長のお心を、支えてあげて下さい」 「イーグァー…」 「この治療、大切なのは心砕かれない事。 艦長には、貴方が居る。 大丈夫です、副長。我々はキューヴに打ち勝つ」 「…勿論だ。頼むぞ、イーグァー」 古代 進を助ける為に。 地球人である島 次郎とレガシー族のイーグァーは 互いを信じ、キューヴに戦いを挑んだ。 「あれ。美晴先生?」 「美雪ちゃん…」 「医務室は良いんですか? 誰か居ないと…」 「今は立ち入り禁止よ。 特に、女性は…ね」 美雪は美晴のらしくない表情に 一抹の不安を感じ取った。 「お父さんに、何か…遭ったの?」 「……」 「先生! わ、私…行かないとっ!」 「駄目よ。今は…待つしかないの。 レガシーの技術と、艦長の心の強さを信じて」 「でも…でも……っ!」 「次郎君が傍に居てくれる。 彼を…信じて」 「島さん……」 美雪は、こんな状況でも父、進の傍に居てくれる次郎の事を これ程までに強く頼もしく思った事は無かった。 いつだって次郎は自分達家族を支えてくれていた。 寂しい時には実の兄の様に傍に居てくれた。 どんな時も、いつでも。 「島さんが居てくれるなら… きっと…大丈夫……」 「美雪ちゃん…」 「私は…島さんを、信じてる…」 自分の代わりを務めてくれる優しい兄の為に。 そして愛する人達の為に。 美雪は彼等の生還を信じ、祈り続けた。 |