| Data.4-1 |
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『島 次郎を艦長代理に任命する』 古代の決定は艦内放送にて流された。 密室で取り決めすべき事項ではない。 それは…古代自身、一番痛感していた。 「思えばあの時に… 俺とアイツの間に生じた溝は 決定的になったんだろうな……」 そう、寂しそうに笑った。 それは未だに彼の中で蟠りとして 残っていたのである。 自分が逆の立場だったら 果たして彼を祝福出来ただろうか。 付かず離れずの距離で 彼のサポートをし続けられたであろうか。 否…彼だからこそ、成し遂げたのだ。 「島…。思い切ってやれば良いぞ」 「艦長……」 「全ての責任はこの俺が持つ。 安心しろ」 「…はい」 言葉を掛けるしか出来ないもどかしさ。 この空しさや苛立ちは 嘗ての偉大な艦長、沖田 十三も 体験した事なのであろうか。 動けない事が此れ程迄に苦痛であると云うのも 古代は今回、しみじみと思い知らされた。 「俺はこんなにも無力だったんだな…」 苦笑交じりの声には覇気が無く 精彩を欠いた表情を浮かべるだけだった。 「…何か納得いかねぇよな」 「?」 戦闘指揮席で大きく体を伸ばし、 上条は不満を口にした。 郷田はそれが何を意味しているのか理解出来ず 困惑の表情を浮かべている。 「順当に行けば徳川機関長だろう?」 「艦長代理の件、か?」 「あぁ。お前はどう思う?」 「俺は…適任だと思うがな」 「そうか〜?」 「じゃあ上条、お前は何が不服なんだ?」 郷田の質問も尤もである。 上条は表情を一層険しくした。 「副長の才能は認めるよ。 だが、このヤマトクルーの中じゃ 最も乗船暦が短い部類に入るんだぜ」 「まぁ、確かにそうだが…」 「単純に乗船暦なら 適任者は機関長か小林、木下だろう?」 「コスモパルサー隊を率いる立場である小林は この場合適任とは言えないかも知れないがな…」 「古代艦長は元々コスモ・ゼロのパイロットだぜ?」 「常時艦載機に乗ってた訳じゃないだろうが…」 郷田は此処まで話してふと気付いた。 上条は自身を候補者から意図的に外しているのだ。 「上条。お前もしかして…」 「ん?」 「自分が候補に入らなかった事を 不服に思ってるんじゃないだろうな」 「ば…莫迦言えっ! 俺がそんな低俗な考えすると思ってるのか?」 「…だよなぁ。失敬」 「…ったく……」 全く考えていなかった訳ではない。 男として、一度は夢見るのが役職だ。 況してや自分は艦長と同じ戦闘班長の職である。 『なのに…事もあろうにアイツかよ……』 納得出来ない思い。 蟠りが上条の胸中を支配していた。 |