| Data.4-2 |
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「まぁ、適任でしょうな」 医務室に顔を出した徳川は そう言って豪快に笑っていた。 「何より、移民計画を立案し 見事に実行に漕ぎ着けた。 あの行動力と決断は 艦長代理の任に就いてもおかしくない才覚です」 「お前もそう思うか、太助…」 「何より、艦長自身の御決断ですから」 「…そうなんだがな」 「? 何か、御不満でも?」 「不満じゃない。 恐らくは…【不安】なんだ」 「不安?」 古代の目は過去を見つめていた。 宛ても無く銀河を彷徨い 第二の地球を探し続けた日々。 不安だらけの中、 縋りたくてもそれが許されなかった期間。 何より、遠避けてしまったのは 古代自身の蟠りが原因だったのかも知れない。 「俺はな、太助」 「…はい」 「次郎には…俺の様な思いをして欲しくない。 クルー全員から認められる 誇り高き艦長代理に、成って欲しいんだ…」 「…艦長」 徳川もずっと、古代を見つめて戦ってきた。 一時期はその相棒と組んだ事も有る。 だからこそ、古代の苦悩は身に沁みて理解出来た。 「不安材料は、俺がさり気無く目を光らせますよ。 尤も、そんな事に動じる程 島が根性無しだとは思いませんがね」 「俺はどうせ根性無しだよ」 「そう云う意味では…」 思わず顔を見合わせ、クスリと笑う。 2人は一瞬、懐かしいあの頃に 戻った様な気がしていた。 静かに廊下を歩きながら、ふと溜息。 次郎は自問自答していた。 まだ、不安だった。 果たして自分に【艦長代理】の任が務まるのか。 何度となく、溜息を吐く。 『大介兄さん…』 不安な時、心細い時。 幼い頃からずっと 彼はこうやって最愛の兄に語り掛けてきた。 『兄さんはどう思う? 俺に、このヤマトの艦長代理が務まるかな…。 兄さんなら、どう言ってくれるんだろう…』 静かに目を閉じ、思い出してみる。 優しかった兄。 自分の前では素直になってくれた偉大な戦士。 そして…誰よりも自分を愛してくれた存在。 『大介兄さん…。 俺は今迄、こんなにも 兄さんの存在を強く感じた事は無かった。 もっと色んな事を教わりたかった。 兄さんから、聞きたかった……』 胸が苦しくなるのは何故だろう。 どんなに背伸びをしたところで 自分が今此処に居るのは 他ならず兄、大介の御蔭なのだと 次郎はいつも痛感していた。 『強くならねば…と誓ったのに。 進を守ると、誓ったのに…。 俺は…やはり、大介兄さんを超えられない』 こんな時程、叱咤激励が欲しいのに。 ふと次郎は、真田と組んでいた頃を思い出し 懐かしく目を細めていた。 |