Data.4-11

古代親子はこの旅できっと
掛け替えの無いものを
手に入れたのだろう。

家族の絆。

古代 進がずっと切望していた
理想の【家族像】。

『これが…あの人の望みでもあった』

一人、廊下を歩きながら
次郎は静かに思いを巡らせる。

『だけどあの人は…
 大介兄さんは……』

親友、好敵手、そして…恋人。
古代の幸せを誰よりも願い
見守っていた大介は…
そんな古代の姿を見る事も
叶わないまま……。

『兄さん…』

次郎は最愛の兄に語り続ける。

『進は…もう大丈夫だよ。
 兄さんが話してくれていた通り
 確りと自分でケリを付けた。
 だから大丈夫、心配は要らないよ…』

次郎の目には
優しい微笑を浮かべる大介の姿が
確りと映っていた。

* * * * * *

先程からモニターを見つめては
盛んに舌打ちを繰り返している。
隣の席の男のその様子を
郷田は首を傾げながら
黙って眺めていた。

「…何だよ?」
「いや…。
 妙に苛ついてるなぁ〜と
 思ったからさ」
「そんな事はねぇよ…」
「そうかい?」
「あぁ…」
「…まぁ、余り溜め込むなよ。
 根詰めない様にな、上条」
「……」

郷田はそう言うと
小さく笑みを浮かべて席を立った。

「休憩に入るよ、戦闘班長。
 後の事は宜しくな」
「…あぁ」

上条は視線をモニターから動かす事無く
愛想の無い返事を送った。

* * * * * *

次郎が艦長代理になってからずっと
上条は心が妙にざわついて仕方が無かった。
理由が自分でも解らない。
しかし、その原因が次郎に有る事だけは
認めるしかなかった。

『元々気に入らなかったのか?
 いや…それは違う。
 あくまでも【航海長】としての腕は
 信頼しているし、認めていた。
 変わったのは…彼奴が
 【艦長代理】になってからだ…』

【艦長代理】

重い役職で在ると、しみじみ感じる。
だからこそ、男として憧れる。
古代 進と云う男に近付く為の
最も近道とされる役職。
それが【戦闘班長】と【艦長代理】だ。

『貴方は本当に、古代の若い頃に良く似ている。
 きっと…彼の様に、いいえ…彼以上に
 成長してくれると思っています』

古代 雪により掛けられたこの言葉が
上条を此処迄突き上げたとも云える。
彼女の言葉に答えたいと願い、
又 答える為に此処迄必死に戦って来た。
古代 進の右腕として。
そう自負しながら。

『それを全て横から掻っ攫われた。
 只…【古くからの知り合い】ってだけで。
 島は難無く、艦長の右腕として存在している』

それが堪らなく悔しかった。
彼が【艦長代理】に任命された事で
これ等の感情が噴出して来たのだ。

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