| Data.4-11 |
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古代親子はこの旅できっと 掛け替えの無いものを 手に入れたのだろう。 家族の絆。 古代 進がずっと切望していた 理想の【家族像】。 『これが…あの人の望みでもあった』 一人、廊下を歩きながら 次郎は静かに思いを巡らせる。 『だけどあの人は… 大介兄さんは……』 親友、好敵手、そして…恋人。 古代の幸せを誰よりも願い 見守っていた大介は… そんな古代の姿を見る事も 叶わないまま……。 『兄さん…』 次郎は最愛の兄に語り続ける。 『進は…もう大丈夫だよ。 兄さんが話してくれていた通り 確りと自分でケリを付けた。 だから大丈夫、心配は要らないよ…』 次郎の目には 優しい微笑を浮かべる大介の姿が 確りと映っていた。 先程からモニターを見つめては 盛んに舌打ちを繰り返している。 隣の席の男のその様子を 郷田は首を傾げながら 黙って眺めていた。 「…何だよ?」 「いや…。 妙に苛ついてるなぁ〜と 思ったからさ」 「そんな事はねぇよ…」 「そうかい?」 「あぁ…」 「…まぁ、余り溜め込むなよ。 根詰めない様にな、上条」 「……」 郷田はそう言うと 小さく笑みを浮かべて席を立った。 「休憩に入るよ、戦闘班長。 後の事は宜しくな」 「…あぁ」 上条は視線をモニターから動かす事無く 愛想の無い返事を送った。 次郎が艦長代理になってからずっと 上条は心が妙にざわついて仕方が無かった。 理由が自分でも解らない。 しかし、その原因が次郎に有る事だけは 認めるしかなかった。 『元々気に入らなかったのか? いや…それは違う。 あくまでも【航海長】としての腕は 信頼しているし、認めていた。 変わったのは…彼奴が 【艦長代理】になってからだ…』 【艦長代理】 重い役職で在ると、しみじみ感じる。 だからこそ、男として憧れる。 古代 進と云う男に近付く為の 最も近道とされる役職。 それが【戦闘班長】と【艦長代理】だ。 『貴方は本当に、古代の若い頃に良く似ている。 きっと…彼の様に、いいえ…彼以上に 成長してくれると思っています』 古代 雪により掛けられたこの言葉が 上条を此処迄突き上げたとも云える。 彼女の言葉に答えたいと願い、 又 答える為に此処迄必死に戦って来た。 古代 進の右腕として。 そう自負しながら。 『それを全て横から掻っ攫われた。 只…【古くからの知り合い】ってだけで。 島は難無く、艦長の右腕として存在している』 それが堪らなく悔しかった。 彼が【艦長代理】に任命された事で これ等の感情が噴出して来たのだ。 |