Data.4-15

『違うじゃないか…』

信じていた。
一片の曇りも無く。
そして疑う事もしなかった。

『全然、違うじゃないか…』

余りにも自分が滑稽で、惨めで。
悲しくても泣けやしない。
苛立ちが募るだけ。

『俺なんか、最初から相手にもされてなかった。
 つまり…そう云う事なんだろうっ?!』

もはや冷静になる事等不可能だった。
頭に血が上ったまま、上条はいきなり扉を開けて
艦長室に入り込んだのである。

* * * * * *

物凄い形相でいきなり入室した上条を見て
古代も美雪も声を失ってしまった。
何が起こったのかも解らず、二人は動きを止めたまま。

「どうした? 何が遭った、上条?」

辛うじて古代が声を掛ける。
それすらも今の上条には【起爆剤】であるとも知らず。

「何でも揃ってるじゃないか…。
 アンタには家族も、仲間も、仕事も…
 何でも揃ってるじゃないかっ!」
「…上条?」
「何で救えなかったんだよ!
 何で最初からヤマトで動かなかったんだよ!」
「上条さん…?」
「アンタが居なかったから、
 移民船団は沈んだんじゃないか!
 俺の仲間も、雪さんだってっ!!」
「……」

そんなものは結果論に過ぎない。
幾ら第一次船団の旗艦として
ヤマトを出したとはいえ、
狡猾なあの罠を掻い潜って
無事に任務を追行出来たとは思えない。
確かにヤマト以前に出向した船団は
多大なる犠牲を払った。
だが、尊い犠牲を無駄にしなかったからこそ
アマールの月への移住も、
強いてはカスケードブラックホールの消滅も
実現出来たのではないか。

上条も解っている筈だ。
そう思ったからこそ、
古代は敢えて口にはしなかった。

「雪さんは俺に言ってくれた。
 アンタに似てるって。アンタの様に成れるって…。
 だから、戦闘班長に任命された時
 俺はアンタに認められたんだって思って、嬉しかった。
 いつか俺も古代 進と同じ様に艦長代理になって、
 このヤマトを引っ張っていくんだって心に決めてた」
「上条……」
「だけどアンタが艦長代理に指名したのは
 俺じゃなく、島だった!
 このヤマトに乗船して間もない島だったんだっ!!」
「上条、お前…」
「あの人の、島 大介の弟だから…
 だから選んだんだろうっ?!」

古代の脳裏に記憶がフラッシュバックする。
太陽の脅威から地球市民を守る為に、と
第二の地球を探す旅に出た時の事。
今の上条は、あの時の大介を彷彿とさせた。

だから余計に、言葉が出なかった。
反論したくても反論出来ないのだ。

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