| Data.4-18 |
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何故古代が笑っているのか。 その意味を理解出来ず、 次郎も上条も、美雪までもが困惑していた。 「艦長…」 「本当にソックリだよ、お前達。 俺達の若い頃に、何もかもソックリだ」 「艦長達の若い頃と…」 「ソックリ……?」 「お父さん……」 静かにゆっくりと振り返ってみる。 楽しかったあの日々。 最初の頃は何かに付けて 喧嘩ばかりだった。 殴り合い、罵り合い、そんな事の繰り返し。 だがその喧嘩が互いを磨き上げてきた。 ダイヤモンドを研磨出来るのはダイヤモンドだけ。 互いを磨き合い、鍛え合い、 やがて伝説を作り上げていった。 「上条」 「はい…」 「雪がそう言ったんだな。 俺にソックリだと」 「…はい」 「アイツは俺の事を良く知っているからな。 雪がそう言ったのならば間違いは無い」 「……」 「つまり、お前は 俺の【欠点】すらもソックリだと言う事だ」 「欠点…?」 「自分の考えに篭ってしまう事さ」 古代自身も自覚していた欠点。 視野の狭さの為に、きっと 自分は色んな人を傷付けてきたと。 妻も、娘も、そして…。 だからこそ、上条を 同じ目に遭わせたくは無かった。 あまりにも、自分に似ていたから。 「上条、お前はまだ若い。 これから幾らでも、自身を磨いていける。 いや、磨いていかなければならないんだ」 「艦長…」 「【伝説】の看板は、そう優しい物ではない。 俺だって、あの人と比べればまだまだ ヒヨッ子も同然なんだ」 「あの人?」 「沖田 十三。 宇宙戦艦ヤマトの初代艦長だ」 「……」 「あの人に憧れ、あの人の様に成りたいと思っていた。 だが、思うだけじゃ駄目なんだ。 最近はそれを痛感している」 今だからこそ解る、沖田 十三の苦悩。 孤独に苛まれていただろうに そんな事は億尾にも出さず、 常に自分達若いクルーを支え続けてくれた 偉大なる初代艦長。 そして、優しく頼もしかった我が父親。 「自分を変えたいのであれば、動くしかない。 波に揉まれて、自身を鍛えていくしかないんだ。 そして…それは一人だけじゃ叶わない。 誰かの手が、共に鍛え合う【好敵手】が必要となる」 「それが…」 「俺の場合、それが【島 大介】だった」 「……」 こんな風に誰かに対して 島 大介を語った事等 今迄無かったかも知れない。 特別な存在であるが故に隠していた。 自分の【想い】と共に。 だがそれこそ、大介の 『望まざる形』だったのだろう。 古代は、改めてそう感じていた。 「上条。俺は俺のコピーを生み出す気は無い。 艦長代理の任をお前にではなく島に任せたのは 確かに、贔屓目が有った様に映るかも知れない。 だがな、俺は自分が拝命しかたらこそ良く解る。 この職は、そんなに容易く引き受けられるものじゃない。 俺自身も何度か、重責に押し潰されそうになった。 自分自身で『まだ早い』と何度も感じていたんだ」 誰にも語らなかった艦長代理への思い。 何でも一人で背負い込んでしまったが為に なかなか抜け出せなかった泥濘。 「候補者は最初から数名用意していた。 勿論、その中にはお前も居た」 「…俺、が」 「あぁ。だが…今、若い芽を潰す訳にはいかない。 だから敢えて、俺は【鬼】になると決めた」 【鬼の古代】 上条が度々耳にしたあのフレーズ。 どう云う意味で教官達がその言葉を口にしたのか、 上条は漸く解った様な気がした。 |