| Data.4-20 |
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目の前に浮かぶ双子星を見つめながら 古代は思いを馳せていた。 「まるでイスカンダルとガミラスだな…。 歴史は、繰り返すのかも知れない」 繰り返される歴史は 地球人や宇宙にとって吉と出るのか。 それとも、凶なのか。 「いや、それは違う。 俺達は運命を切り開く為に此処に居る。 奴等の暴挙を許してはならない。 それがヤマトの使命であり… 艦長である、俺の使命なんだ……」 長きに渡る戦いで芽生えた友情。 ガルマンガミラスを率いていたあの男の様に 揺るがない心を持つ事の大切さを。 滅び逝く惑星の最期の住人でありながら 交流の無い地球の為に 救済の手を差し伸べてくれた 心優しきあの女王の様に。 目の前の双子星で自分達を待つ者を 古代は何処か胸躍らせている様に感じた。 この目で見なければならない。 どうしてこの宙域にヤマトが飛んだのか。 必ず、大きな意味が隠されている筈だから。 「雪…。 お前も又、戦っているんだろう。 たった一人になっても、誰かの為に。 そんな強く優しい女だからこそ、 俺はお前の事を…愛しているんだろう…」 惑星アクエスに重なる様にして見えた 愛妻の笑顔に、古代は優しく微笑み返した。 「アクエスから応答が入りました!」 第一艦橋に響く中西の声に 其処に居る全員の表情が強張る。 「で、何と言ってきた?」 「ヤマトの存在を確認した事と アクエスへの上陸許可が下りたとの事です」 「アクエスは…ヤマトを受け入れてくれたのか」 「特に敵対意志は感じられませんでした。 多分大丈夫じゃないか、と」 「…そうか。アクエスの民に感謝の意を伝えてくれ」 「了解しました!」 次郎はスクリーンに映る惑星アクエスを 穏やかな表情で見つめていた。 「助かった、と云う事だな…。 コレで少しは乗組員も……」 「良かったよな、副長」 「…そうだな、上条」 直ぐ側には上条が立っている。 極自然に、当たり前の様に。 「俺達も、艦長達の様になりたいものだな」 「…あぁ。あの二人に、負ける訳にはいかん」 「へぇ…。実の兄貴がライバル、なんだ…」 「勿論。俺は、彼が出来なかった事を果たしたいんだ」 「?」 「艦長代理の職も、新生ヤマトに乗り込む事も。 きっと兄は自身が体験したかった事だろう。 だが、それを俺に譲ってくれた。 だからこそ俺は…その期待に答えなければならない」 「島……」 上条が考えている以上に、 次郎の心の中にはヤマトと、二人の偉大な兄の存在が とても大きく占めている。 此処迄来るに当たって、挫けそうな時も有っただろう。 だが、次郎は今此処に立っている。 見た目以上に逞しい精神力なのだと 上条は思い、不意に苦笑を浮かべた。 「…何だ?」 「いや、アンタはタフな奴だな〜っと思ってさ」 「ん?」 「昔から?」 「…確りはしていたかな? 歳の割には」 「へぇ〜」 「でもそれが…可愛げの無い所もあってな。 兄はそんな俺はよく心配していたよ」 「心配? 確りし過ぎているから?」 「そうだろうな。兄は俺に、子供らしさを求めてた。 子供らしく、そのまま大きくなって欲しいってな」 「まるで親みたいだな」 「そうなんだよ。 彼の方が歳相応に生きれば良かったのに…」 「島……」 「俺は、何も出来なかった。 だけど今は…それじゃ駄目だと気付いたんだ。 だから、俺は俺に出来る最大限の事をする」 「……流石だな、島副長。 いや、【艦長代理】だっけ?」 「上条…」 「聞こえなかったか? 艦長代理、これからも頼むぜ!」 「上条…。有難う……」 「礼を言うのはまだ早いって。 俺達の敵は…未だ健在だ」 「あぁ、そうだな…。 奴等を倒さねば…この宇宙に未来は無い」 次郎の声に上条が頷く。 共に見つめ合い、 やがて互いの視線をアクエスに移した。 |