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「これじゃ…SUS軍との戦いと まるで同じじゃないですか…」 「アマールでも多くの民間人が犠牲になった。 もうあんな思いだけは 二度と味わいたくないと誓ったのに…」 「二人の気持ちは解る。 だが一見した所、このアクエスには 戦闘兵器と呼ばれる類の物は 何処にも見当たらない。 敵の出方次第では有るが 反抗の意志無しと判断されれば アマールでの市街戦の様な事は 起こらない可能性だって有る」 「しかし島! もしも敵が無抵抗な人々でさえも 平気で攻撃する様な輩だったら?」 「落ち着け、小林。 俺が述べたのはあくまでも【可能性】だ。 そもそも敵の戦力も分析出来ていないのに 満身創痍のヤマトで何処迄応戦出来る? ヤマトが落ちればこの惑星を 救うどころじゃ無くなるんだぞ」 「ぐっ…」 島の発言に対し、上条も小林も 言葉を飲み込む事しか出来なかった。 「悔しいのは俺だって同じさ。 何とかしてこの惑星を守りたい。 此処には雪さんが居るんだ」 「島…」 古代はふと視線を美雪に移した。 母が出て行った扉を見つめたままの 悲しそうな瞳。 「美雪…」 母に会いたい。 その一念でこのヤマトに乗り込み 不安や不満も有ったろうに それを口にする事無く 生活班長として共に必死に戦って来た。 なのに、折角出会えた母とは 又離れ離れを強いられてしまうのか。 どうすれば娘の思いに 答えられると云うのだろうか。 「…皆様。 アクエスの事を心配して頂き… 本当に有難う御座います。 ですが女王陛下、ユキ様も仰る通り… これは我が惑星の問題。 地球の方々を巻き込む訳にはいかないのです。 どうか…どうか……、 御理解して頂きたい…」 「お母さんだって… 地球人なのに……」 「美雪ッ!!」 「だって……」 「美雪ちゃん…」 応接室には遂に耐え切れなくなったのだろう 美雪のすすり泣く声だけが響いていた。 長い廊下。 心成しか、足取りが重い。 後ろを振り返る事は許されない。 だが、束の間の家族との談笑は 雪の心に温かな火を灯していた。 『美雪…立派になったのね。 貴女の事は信じていたけど… 今の姿を見て、私達の判断は 間違って無かったと確信出来たわ』 滅亡寸前の地球に残してしまった 愛しい一人娘の事を 一瞬たりとも忘れた事など無かった。 だが今は、アクエスの為に生きる女王として 【古代 雪】に戻る事は許されない。 『許してね、美雪。 私もお父さん同様… 不器用な生き方しか出来なかった…』 後ろ髪を引かれる思いで 雪はスッと前を向き、 宮殿奥の通信室へと急いだ。 |