Data.5-6

一方その頃。
ヤマト第一艦橋。

「何だ? この変な通信…」
「どうした中西?」
「う〜ん、傍受しちゃって良いのかなぁ〜?
 アクエスと何者かが通信で遣り取りしてるんだ。
 密談なのかどうかは判らないけど。
 音声だけなんだが、混線でもしちゃったのかね。
 どうする木下? やっぱ消そうか」
「…全て録音して保存しておこう。
 そうする方が良い様な気がする」
「えっ?!
 でもそれじゃ盗聴行為……」
「艦長には俺から説明する」
「しかし……」
「お前は艦長から何か聞かれたら
 『木下に強要されて仕方が無く』と答えれば良い」
「う〜ん…でもそれじゃお前が……」
「俺も木下の意見には賛成だな」

背後から聞こえた声に
中西は思わず身構えた。
木下は苦笑を浮かべている。

「徳川機関長…」
「なぁ〜に、責任なら
 この俺が全て取ってやるさ。
 艦長に責められたら空かさず
 『これは機関長がそうしろと詰め寄って来て
 断る事が出来なかったから』って言っておけ!」
「…はい、解りました。
 では通信内容を全て保存しておきます……」
「解れば良いんだよ、解れば」
「機関長、有難う御座います」
「ん? 何がだ?」
「賛同頂けて、安堵しました」
「何だ、そんな事か」

徳川は豪快に笑い声を上げた。
だがそれも次の瞬間には
途端に深刻な表情と変わっている。

「お前も感じたんだろう? 木下」
「はい。何やらキナ臭いものを…」
「ヤマトの整備、補修の方は順調だ。
 いざと云う時の為にも備えておかないとな。
 又戦乱が勃発しそうな…
 嫌な予感しかしないんだよ、俺は」
「そうですね…。
 此方もピッチを上げて研究開発を急ぎます」
「頼んだぞ、技師長」
「任せて下さい」

* * * * * *

案内された客間。
美雪は先程から窓辺のソファに座り
黙って星空を見上げたままだ。
古代も又、何も言わない。

『厳し過ぎた、かな…』

美雪の先程の発言は
母を思う娘の、極当たり前な物。
しかし、古代はそれを咎めた。
父親としてだったのか。
それとも上官としてだったのか。

『上官も何も、美雪は本来民間人だ。
 軍隊のそれをあの子に押し付けるのは
 躾でも何でも無く、単なる俺のエゴだな…』

相変わらず不器用にしか接する事が出来ない。
父親で在りたいと思えば思う程、空回りする。
無様で、滑稽で。
何よりも娘に申し訳無いと思う。

考えなければならない事は山積みなのに。
妻や娘の事に気を取られる辺り
やはり自分は艦長としても
まだまだなのかも知れない。

『又、父さんから叱られてしまいそうだな…』

溜息と自嘲気味な苦笑。
それが交互に口から漏れる。

「お父さん……」

心痛な表情のまま美雪が振り返り
古代を呼んだのは、丁度そんな時だった。

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