| Data.5-7 |
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「お父さん…」 月明かりを背に此方を見つめる美雪は まだ泣いているかの様だった。 「どうした? 美雪」 「私……」 「……」 「……」 「…美雪?」 「私、ヤマトを降りる」 「降りて、どうするつもりなんだ?」 「此処に、残る…」 「美雪……」 「お母さんと一緒に アクエスに残る」 「美雪…」 「私、決めたの…」 「美雪…。 今 ヤマトを降りれば、 二度と地球には戻れないんだぞ? それでも…」 「……だって」 「だって?」 「お母さんが独りぼっちになっちゃうもの…」 「美雪……」 古代の脳裏に蘇る過去の記憶。 暗黒星団帝国の拠点、デザリアム星を去る時の サーシャの姿、言葉、表情。 『従姉妹だからって… そんな所迄 似る必要等 何も無かった筈なのに……』 悪態を吐きたくなる程に 美雪の覚悟が伝わってくる。 引き止めても無駄な事位 父親なのだから解っている。 娘とは云え、彼女も15歳になった。 いつまでも幼い子供ではないのだから。 自分の手元に留める事は出来ないのだ。 「…美雪」 「何?」 「…お父さんにも 少しだけ、考える時間をくれないか?」 「…ん、解った」 微かに頷くと 美雪は再び青い月を見上げた。 ヤマト機関室。 波動エンジンの調整も いよいよ最終段階に入っていた。 「お〜い、翔! 其処のボルト取ってくれ!」 「良いけど。 今のスパナで大丈夫か? 一寸口が大き過ぎね?」 「…若干、デカいかもな。 スパナを替えるか」 「ほい、じゃあこれな!」 「サンキュ!!」 制御スクリーンを操る時とは違い 全身汗塗れの機械油塗れ。 所々で筋肉痛。 間接も悲鳴を上げている。 だがヤマトと直接触れ合う実感は 機関室に篭り、コンピューター制御だけをしていた あの頃とは桁が格段の違いだ。 「へへ、俺達も漸く 機関部制御席担当を誇れるってもんだぜ」 「大口叩いてるとさ 又 機関長にドヤされるぜ、走」 「それもそうだな。 サッサと調整を終わらせないと…」 「ヤマトは俺達の腕に掛かってるんだから!」 「そっ! そう云う事…だっ!!」 最後のボルトを締め直し 走は満面の笑顔を浮かべた。 「よし、一丁上がりッ!!」 「これで何時でも発進出来るぜ。 やっぱ俺達って最高〜♪」 「ひとっ風呂浴びて来るか。 機関長の駄目出しが出ない事を祈るよ」 「それを言うなって、走…」 「はは。冗談だよ! じゃあ行くぜ、翔!」 「おう!!」 |