場所を移動したからと云って
ダイスケが真相を語ると迄は
流石に考えていなかっただろう。
内容は、自分が思うよりも深刻である。
アカツキ帝国が自分の兄である
マモル将軍を動かした事、
将軍自らが村の焼き討ちを行った事に於いても
この村は帝国にとって相当【目障り】だったのだろう。
だが、その理由が全く見えない。
これほど理不尽な事があろうか。
「兄さんは…マモル兄さんは、
何も教えてはくれなかった。
村を焼く理由を、何も…」
「……」
「村の皆は俺やアキラ、アルフォンやサブローにも
優しく接してくれていたのに。
俺達は…帝国の命令で何も知らないまま
村を滅ぼす為だけに派遣されたのに……」
「でもお前達は帝国を説得すると迄
言ってくれたじゃないか、ススム」
「……」
「俺達【家族】は、その気持ちだけで
充分嬉しかったんだよ…」
「だけど…説得は出来なかったっ!!」
「ススム……」
「それどころか、厄介者になって…
結果的には村を……」
ダイスケは大きく息を吐くと
ゆっくりと首を横に振った。
「最初からこの村は帝国に狙われていた。
そして、その事実を村人一人ひとりが
ちゃんと理解していた」
「だから! それは何故っ?!」
「それは……」
「お前は【自分の責任】だと言った。
何故そんな事が言い切れるんだ?!」
「……」
「やはり…俺なんかに話す気は無い、か」
「ススム…俺は……」
「若しくは、正攻法で聞くのが間違いなのかな」
「…?」
「口を割らなくても、他に方法は有る」
「…え?」
「俺はこれでも…元帝国騎士だぞ」
「ス…っ!!」
ダイスケは一瞬声を荒げたが
それも深い森と暗い闇に掻き消された。
* * * * * *
木々が風に揺れている。
葉音が妙に耳に残る。
それに合わさるかの様に響いてくるのは
俺の鼓動か、それとも…彼か。
丁度押し倒した様な格好で
俺は黙って彼を見下ろす。
彼も又、瞳を背ける事無く
黙って俺を見つめ返してくる。
非難ではない。
勿論、期待でもない。
彼は何も知らないのだろう。
それこそが、最も恐ろしい事。
そう、彼はこれから恐ろしい目に遭う。
他ならぬ俺の手で。
恩を仇で返す。
俺は…こんなにも情けない人間だっただろうか。
亡き母上は…こんな俺をどう言われるだろう。
やはり【面汚し】と罵られるだろうか…?
それでも…俺は……知りたい。
ダイスケが隠している事実を。
俺は多分、知らなければならない。
その結果、世界が崩壊する事になっても。 |