「約束だ、ススム。
俺はお前に、真実を告げる」
「ダイスケ…?」
「お前には知る権利が有る。
そして俺には多分…
伝えなければならない義務が有る」
「……」
「その結果、村を追われても俺は構わない。
お前と一緒に居られるのならば」
「ダイスケ、お前は……」
「だからススムも約束してくれ」
「あぁ、俺で出来る事ならば何でも!」
「多分、いや…絶対にお前じゃないと無理だな」
「? 一体、何を…?」
「飯を食え。それだけだ」
「……」
してやったり、と云う表情で
ダイスケは嬉しそうに微笑んでいた。
「父さんには俺から事情を説明する。
大丈夫だ、俺に任せてくれ」
「しかし…それではお前の負担が……」
「もう逃げたくは無いんだ。
俺達は何も悪い事をしてなどいない。
だったら…立ち向かわなければならないだろう」
「ダイスケ……」
「いつか、こうなると思っていたさ。
それが漸く訪れただけ」
【覚悟】と云うものが存在するのであれば
ダイスケはススムと出会う前から
既にそれを持ち合わせていたのだろう。
何が原因なのかは判らない。
だが、余りにも理不尽な事の様に感じる。
一体、アカツキ帝国は
彼の【何】を求め、逆に恐れているのか。
「それでも…俺は……」
「? どうした、ススム?」
「俺は…お前と共に、生きて行きたい。
ダイスケ、お前と……」
「俺も、同じ気持ちだよ…ススム」
「ダイスケ……」
この先に待ち受けるが地獄であると言うのならば
その地獄と戦うしかない。
ススムの気持ちが、此処で漸く固まった。
* * * * * *
気だるそうに服を着直し、
疲れ切った体が凭れてくる。
だが、不快感も苦痛も無かった。
寧ろ、嬉しかった。
ススムの肩に頭を預け、
ダイスケは眠りに落ちた様だ。
「お休み、ダイスケ…」
その眠りを妨げない様、
ススムは微笑みながらそっと体を支える。
「ダイスケは?」
「えっ?」
不意に聞こえてきた声。
その声の主はユキだった。
手にスープの入ったカップを
2つ携えている。
「切り株の上に置いておくわ」
「あ…有難う……」
ユキはそれ以上何も言わず
宣言通りカップを置くと
そのまま集落の輪へと消えていった。
「ユキ…か。
不思議な女性だな……」
その後姿を静かに見送りながら
ススムはダイスケの温もりと体重を感じ、
優しく微笑を浮かべていた。
月が明かりを失い、空が白く伸びていく。
朝陽が彼等を照らそうとする
正にその瞬間であった。 |