Vertriebene・7

「約束だ、ススム。
 俺はお前に、真実を告げる」
「ダイスケ…?」
「お前には知る権利が有る。
 そして俺には多分…
 伝えなければならない義務が有る」
「……」
「その結果、村を追われても俺は構わない。
 お前と一緒に居られるのならば」
「ダイスケ、お前は……」

「だからススムも約束してくれ」
「あぁ、俺で出来る事ならば何でも!」
「多分、いや…絶対にお前じゃないと無理だな」
「? 一体、何を…?」
「飯を食え。それだけだ」
「……」

してやったり、と云う表情で
ダイスケは嬉しそうに微笑んでいた。

「父さんには俺から事情を説明する。
 大丈夫だ、俺に任せてくれ」
「しかし…それではお前の負担が……」
「もう逃げたくは無いんだ。
 俺達は何も悪い事をしてなどいない。
 だったら…立ち向かわなければならないだろう」
「ダイスケ……」
「いつか、こうなると思っていたさ。
 それが漸く訪れただけ」

【覚悟】と云うものが存在するのであれば
ダイスケはススムと出会う前から
既にそれを持ち合わせていたのだろう。
何が原因なのかは判らない。
だが、余りにも理不尽な事の様に感じる。

一体、アカツキ帝国は
彼の【何】を求め、逆に恐れているのか。

「それでも…俺は……」
「? どうした、ススム?」
「俺は…お前と共に、生きて行きたい。
 ダイスケ、お前と……」
「俺も、同じ気持ちだよ…ススム」
「ダイスケ……」

この先に待ち受けるが地獄であると言うのならば
その地獄と戦うしかない。
ススムの気持ちが、此処で漸く固まった。

* * * * * *

気だるそうに服を着直し、
疲れ切った体が凭れてくる。
だが、不快感も苦痛も無かった。
寧ろ、嬉しかった。

ススムの肩に頭を預け、
ダイスケは眠りに落ちた様だ。

「お休み、ダイスケ…」

その眠りを妨げない様、
ススムは微笑みながらそっと体を支える。

「ダイスケは?」
「えっ?」

不意に聞こえてきた声。
その声の主はユキだった。
手にスープの入ったカップを
2つ携えている。

「切り株の上に置いておくわ」
「あ…有難う……」

ユキはそれ以上何も言わず
宣言通りカップを置くと
そのまま集落の輪へと消えていった。

「ユキ…か。
 不思議な女性だな……」

その後姿を静かに見送りながら
ススムはダイスケの温もりと体重を感じ、
優しく微笑を浮かべていた。

月が明かりを失い、空が白く伸びていく。
朝陽が彼等を照らそうとする
正にその瞬間であった。

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SITE UP・2010.12.08 ©森本 樹

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