「ダイスケの手には【真なる風の紋章】が。
そしてジロウの手には【真なる土の紋章】が
それぞれ生まれた時から宿っている。
この村の民は彼等を
権力から守り抜く為に存在していたのだ」
オキタの発言にその場に居た全員が声を失った。
世界で幻とされる【真なる16の紋章】の内の2つが
この双子によって継承されているのだ。
「本物…なのですか?
だって、幻とされている紋章でしょう?」
思わず声を荒げるアルフォンに対し
紋章は自己主張するかの様に激しく輝いた。
「この輝きは…間違いない。
本物の、【真なる16の紋章】……」
「眷属では有り得ない力を放っていやがる…」
やがて満足したのか、双子の紋章は
静かに元の状態に戻った。
己の右手を見つめるダイスケとジロウは
共に悲痛な表情を浮かべている。
「ダイスケ…ジロウ……」
「俺達は…この紋章の力で
己の両親を…殺している……」
「え…?」
「嘘じゃない…。
母親は…俺達を産み落とした直後に死んだ。
父親は…俺達の存在を知られないようにする為
この村に俺達を託した後、消息を絶った……」
「ダイスケ……」
「俺達が生まれたから、父さんも母さんも死んだ。
俺達が両親の生命を奪ってしまったんだ……」
「ジロウ…、でもそれは……」
「これが…【真なる16の紋章】を継承すると云う事…。
そしてこれからも俺達は、この呪縛に支配される…」
紋章を持って生まれてきたが為
彼等は母親と死に別れた。
そして、紋章を求める勢力によって
彼等は父親との別れを余儀なくされた。
望んでいた筈が無い。
生まれたばかりの赤子に
そんな事は不可能である。
「俺は…紋章が嫌いだ。
こんな物…持っていたって何もならない。
人が苦しむだけ、死んでいくだけ…」
「ジロウ……」
「何度も捨てようと試みたよ。
だけど…駄目だった。
紋章の意志が強過ぎて、紋章師じゃ扱えないって」
「……」
「【真なる16の紋章】を所持する者は
世界を支配出来るとか言ってる奴も居るが…
俺達からすれば、実に下らない妄想だ。
迷惑でしかない。そんな考えは…」
「ダイスケ……」
生まれた時から既に、彼等は狙われていたのだ。
だからこそ、ダイスケは拒み続けた。
それはススムを思うからこそ。
彼を巻き込みたくないという一心で
ダイスケはあれ程頑なに真実を語りたがらなかったのだ
ススムの心の中で激しく渦巻く感情。
それが明確な姿を表す切っ掛けとなったのが
以下のオキタの言葉である。 |