Meeting of Fate・3

レナンカンプの側に在るという深い森は
昼間だと云うのに夜の様に暗く、静かだった。
このような所に反乱分子が生息しているのか
甚だ疑問にすら思ってしまうのだが。
いや、今はそんな事を気にしても仕方が無い。

「んぁ? 又来たのかよぉ〜」

遠くから声が聞こえてくる。
此方からは人影すら見えないと云うのに
向こうは余程目や耳が良いのか。

ゆっくりと声の主が姿を現す。
屈強な体躯は帝国の所属する騎士よりも立派で
名立たる将軍達と並んでも見劣りしない程だ。
質素な身形から、山賊の様にも見えるが。
まさか…見た目だけで【反乱分子】扱いなのだろうか。
だとすれば余りにも…酷い話だ。

「今日こそは貴様等に引導を渡してくれる!」
「今日こそはって…お前さん、毎回それだな」
「だ…黙れ、黙れ! 黙れぃ!!
 何をしている?! 速く突撃せんかっ!!」
「…無茶苦茶だな」

渋々ながらアキラとサブローが突撃に挑むが
大男は難なくそれ等を往なしてしまう。

「つ…強い……」

アルフォンが思わず息を飲んだ。
無理も無い。
訓練生時代、彼等は俺達同様に抜きん出ていたのだ。
実力を兼ね備えている筈の彼等がまるで赤子状態。
勝負は一瞬で付いてしまったのだから。

「ひ…ひぃ〜〜〜!!」
「え? ち、一寸ま……っ!!」

信じられない事だった。
隊長や仲間達は、負傷した2人と俺やアルフォンを置いて
我先にとその場から逃げ出してしまったのだ。

「く…に、逃げろ…ススム……」
「ススム様…早く、逃げて…」
「出来る訳無いだろうっ?!」

俺は急いで彼等に駆け寄ると
傷の具合を確かめる。
致命傷は喰らっていない。
打ち身が酷いのかも知れないが
この程度なら直ぐに回復するだろう。

それにしても酷い話だ。
あの噂は本当だったのか。
兄さん達の危惧は計らずとも当たってしまった。
騎士たる者が傷付いた者を置き去りにして
敵前逃亡を図るとは…。
敵に背を向ける位なら討たれた方がまだ名誉だろうに。

俺の心に色んな思いが渦巻いていく。
もしかして騎士なんてのは…
帝国にとって使い捨ての存在に過ぎないのだろうか。

「さて、どうする?
 喧嘩を吹っ掛けて来たのは其方さんだぜ」
「……」

逃げる訳にはいかない。
だが、正面切って戦っても勝てる見込みは無い。
正直、八方塞だった。

すると、その時。

* * * * * *

「サイトウ、どうした?」

森の奥から更に声が聞こえてきた。
サイトウと呼ばれた大男よりも
少し高めの、落ち着いた声。

「若長…」
「又 暴れてたのか?
 困った奴だな。
 お前は手加減を知らないから」

そう言って【若長】と呼ばれた青年が
静かに姿を現わした。

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SITE UP・2011.05.27 ©森本 樹

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