穏やかな表情と細身の体。
【若長】は微笑を浮かべたまま
俺達とサイトウの間を割って入って来た。
「君達は?」
「…我々はアカツキ帝国の【若獅子隊】の一員。
我が帝国に仇なす存在として討伐に来た」
「仇…なす?」
「そうだ。そう勅命を戴いている」
「…成程。だから、何度もこうやって」
【若長】の表情が急激に変化する。
それは先程迄の温和な青年ではなく
明らかに【戦士】のそれであった。
「このまま帝国へお帰り願えないか?
我等一族、帝国に仇なす思い等
持ち合わせてはいない」
「それは出来ない」
「命令だから、か」
「そうだ。それが騎士たるものだ」
「愚かだな…」
彼の言葉が心に突き刺さる。
【騎士】が愚かだ等、帝国では聞いた事が無い表現だ。
「愚弄すると言うのならば、容赦はしない」
「先ずは聞こう。
君が、この集団のリーダーか?」
彼は明らかに俺に対してそう言った。
隊長は既に逃走しており、
【若獅子隊】にリーダーは不在である。
しかし、そんな情けない事実は言えやしない。
「…そうだ!」
「ススム?」
「ススム様…」
「お前……」
「ススム、か。解った。
では村を代表し、このダイスケがお相手しよう」
若長、いや…ダイスケはそう言うと
細身の棍棒を取り出して構えた。
「一対一。決闘で勝負しよう。
俺が勝ったら君達は此処から退け」
「では…俺が勝てば?」
「俺を帝国に差し出せば良い」
「若長っ!!」
「手出し不要だ、サイトウ」
「良いだろう。その勝負、受けた!」
とにかく勝てば良い。
彼に勝ちさえすれば、【若獅子隊】は名誉を保てる。
俺はそう考えていた。
* * * * * *
「先ずは…小手調べといこうか?」
ダイスケは余裕を見せ付けてくる。
構えからは隙が感じられず
その余裕を裏付けているみたいだったが
それが俺には癪に障った。
「食らえッ!」
「ば、莫迦! 反撃されるッ!!」
サブローの声を聞いた瞬間、
棍棒が俺の腹部に減り込んだ。
必殺を見事に返されたのだ。
「挑発に乗るからだ…」
「まぁ、ススムらしいと言えばそうなんだが…」
アルフォンとサブローの呆れた声が聞こえてくる。
何だか恥ずかしいやら悔しいやらで
俺は更に剣を振り回しては
手痛い反撃を喰らってしまった。
「そろそろ良いか?」
「う……」
やはりこいつは強い。
勝算が有ったからこそ、一騎打ちを提案したのだと
俺は今更ながらに気付き、そのまま気を失った。 |