翌朝、俺達はグレッグミンスターへの帰路についた。
とにかく、誤解を解きたかった。
あの村の住民は謀反の意思等持ってはいない。
ただ、静かに暮らしていたいだけだ。
「俺、一寸故郷に寄ってから戻るわ」
「サブロー?」
「長年家を空けてしまってたし。
久々に親父やお袋の顔も見たいし…な」
「そうなんだ。
だったら、安心させてあげると良いよ」
「有難うな、ススム」
「サブローさんは、騎士を辞められるんですね」
「何だか馬鹿馬鹿しくてさ…。
俺は弱い者虐めする為に騎士に成りたかった訳じゃない。
それが解っただけでも、今回の一件には意味が有ったさ」
「……だな」
サブローの意見は一々尤もだった。
そして、アキラも又 素直に納得している。
こんな気持ちのまま、確かに騎士は続けられない。
元々がアカツキ帝国の人間で無いサブローは
帰省する事で、もっと自分に似合った道を見付けるだろう。
「縁が有ったら又会おうな、サブロー」
「あぁ。お前達も元気でな」
俺達はレナンカンプで別れた。
そしてこの別れが、後に大きな意味を成す事に
今の俺達はまるで気付いていなかった。
* * * * * *
我が故郷、グレッグミンスター。
其処はこんなにも色彩の無い、冷たい都市だっただろうか。
僅か数日空けただけで
まるで異邦人を見るかの様に、俺達を包む視線。
薄暗く、日が差さぬあの森の方が
今の俺には余程輝いて目に映る様だった。
「一旦、お屋敷に戻りましょう。
マモル様もミユキ様も御心配されている筈」
「…そうだな。アルフォンも……」
「あぁ。俺も自分の家に戻るとしよう。
報告なら、又その内に来るだろうから…」
「うん……」
足取りも重く、俺達は家路に向かう。
敗戦の兵に対する温度の無い視線から
一刻も早く、逃げ出したかった。
* * * * * *
屋敷にはミユキだけが残っていたらしい。
彼女はエントランスで俺とアキラの姿を見付けると
一目散に駆け寄って来た。
「ススムお兄様! アキラさん!!
良かった、お二人共ご無事で!」
「ミユキ…」
「申し訳御座いません。
御心配をお掛けしました、ミユキ様」
「いいえ、それは良いのよ。
だって…お兄様達が討たれたとの一報が入って
グレッグミンスター中で大変な騒ぎに…」
「そう云う事だったのか…」
「どうなさったの?」
「街の人々の冷ややかな視線が気になっていたんだが。
死んだ筈の俺達が帰って来た事で
皆、幽霊でも見る様な目で見てただけだったんだな」
「…ススムお兄様」
やはり、話がおかしい。
全てに於いて納得が出来ない。
俺の中で、帝国への信頼感が
激しく揺らぎ出していた。 |