Meeting of Fate・9

「覚悟は、出来ている様だな…」
「……」

兄さんはそのまま、愛用である大剣を鞘から抜いた。
そっして切っ先を俺に向けてくる。

「マモルお兄様! 止めて下さい!!」
「マモル様…」
「前言を撤回する気は?」
「全く有りません。
 首を刎ねると言うのならば、どうぞ」
「……」

ガンっと云う大音響と共に
大理石製のダイニングテーブルが真っ二つに割れた。
ミユキは流石に言葉を失った様だ。

「お前の帰還は、見なかった事にしておく。
 さっさとこの屋敷から姿を消すが良い」
「……」

どうやら、見逃してくれるみたいだ。
俺は軽く会釈をすると、そのまま部屋を後にする。
もう…こんな場所には居られない。

「ススムお兄様!」
「捨て置け、ミユキ」
「だけど…こんな事、あんまりです!」
「…諦めろ。これが【騎士】と云うものだ」
「……」

マモル兄さんとミユキの会話が遠くなっていく。
俺は手早く荷物を纏め、
小雨の降る街中へと歩を進めた。

* * * * * *

「アキラよ」
「…はい、マモル様」
「お前も、行くのか……」
「ススム様のお傍に居る事が、母上様の望みでしたから」
「あれは謀反人となり、裁かれる身だ。
 それを承知で…」
「無論です。裁かれるのであれば、私も共に」
「…ススムは、幸せ者だな」

マモルはまるで泣き出しそうな笑みを浮かべている。
そして優しくアキラの両肩に手を添え、
震える声でこう、囁いた。

「ススムを…。我が愛する弟を、どうか守ってやってくれ。
 そしてあの子の【正義】を…支えてやってくれ」
「マモル様……」
「私にはどうする事も出来ぬ。
 最早、どうしてやる事も出来ないのだ…」
「解りました。どのような事が有ろうとも、必ず」
「有難う…アキラ……」

アキラも又、マモルに微笑み返すと
ススム同様に会釈をし、部屋を後にした。

「マモル様…。宜しいのですか?
 大帝に助命を嘆願なされた方が……」
「いや、今の大帝に助命嘆願は聞き入れて頂けぬだろう」
「やはり…そうで御座いますか……」
「心苦しいが、やるしかないのだ」
「…御意」

マモルとコノマの決意。そしてアキラの思い。
ミユキはそんな彼等の遣り取りを
ただ黙って見つめている事しか出来なかった。

* * * * * *

門を出た所で、俺とアキラはもう一つの人影を見付けた。
アルフォンである。

「アルフォン…どうして……?」
「敗走兵は…我が家の恥曝しだと言われてな。
 追い出されてしまったよ」
「…お前も、か」
「…アカツキ帝国は、最早俺達の敵でしかないって事だ」

行き場を失った俺達3人。
雨は段々と本降りとなっていく。

「どうすれば良いんだろうな、俺達…」
「さぁ…何ともしようが……」

苦悩するアルフォンとアキラ。
だが、俺には行かなければならぬ場所が見えていた。

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SITE UP・2011.06.28 ©森本 樹

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