「お前が数人の仲間と共に帝国に反旗を翻した事は
俺の耳にも届いているよ」
「それって、兄さんから…?」
「まさか。今は俺も追われる身だ。
それに、ハルモニア神聖国は
アカツキ帝国と戦争状態にある。
帝国の将軍であるマモルと
言葉を交わす事等は不可能に近いだろう」
「……」
サナダさんの言葉を聞きながらも、
俺には一つ引っ掛かる事が有るのに気付いた。
「サナダさん…『俺も追われる身』って一体…?」
「それはだな…」
サナダさんは不意に視線をダイスケに移した。
厳密に言えば、彼の右手に…だ。
「サナダさん?」
「青年。お前の名は?」
「俺? ダイスケ、だけど」
「ダイスケか。
私が追われる理由は…
お前と同じ物だと言えば、解るか?」
「真なる…紋章?」
「まさか?! どうしてサナダさんが?」
「詳しく語るに、此処はまだ安心出来ん。
お前達二人だけで逃げた訳ではあるまい。
責任者の所へ、案内して欲しい」
「サナダさん…?」
「事態は一刻を争う」
「解りました。
貴方の怪我の具合も心配だ。
ススム、急ごう」
「あ…あぁ」
「感謝する」
サナダさん程の人が『一刻を争う』と口にする事態。
そして、真なる16の紋章の内
3つが此処に集まったと云う事。
呼んだのだろうか。
ダイスケとジロウの紋章が…。
* * * * * *
ダイスケに案内され、サナダはオキタと対面した。
簡単な挨拶を交わした後の長い沈黙。
サナダは、静かに目を閉じ
軽く頷くと再度オキタを見つめた。
「私が追われる理由は…【これ】です」
「これは……」
「ハルモニア神聖国の【名も無き神殿】に隠されていた
【真なる水の紋章】です。
御存知でしたか?」
「ハルモニア神聖国が
【真なる16の紋章】を集めている事は
知っておりましたが…
やはり、【真なる五行の紋章】も…」
「いえ、ハルモニアが所有するのは
この【真なる水の紋章】だけです。
少なくとも【火】と【雷】は確認されていません。
そして、【風】と【土】の紋章を我が手に統べく
神官将に命令を出しております」
「…そうか。やはりスカルダートは……」
「全ての紋章をその手に集め、
この世界を支配するつもりなのでしょう」
サナダは終始、淡々と事実を述べただけだった。
表情に微塵の変化も無い。
だが、彼の口から語られる事は
ススム達に言い知れぬ不快感を与えた。
ハルモニア神聖国。
ススム達の前に立ちはだかる強敵の存在。
その姿を、彼等は確かに認めた。 |