Wandering Genie Stratege・8

「で、結局収穫無しか…」

次の日。
勿論、ススムとダイスケはサナダに呼び出されていた。

「い…いや、でもほら。
 あの女の人は助けられたから…」
「お前達が倒した男が衛兵を連れて来たら…
 一体どうするつもりだったんだ?
 その女性とやらに弁明させるつもりか?」
「…軽率でした。済みません……」
「ダイスケ! お前が謝る事は無いよ。
 俺がお前を連れ出したんだから……」
「…もう良い。話が進まん」
「…済みませんでした、サナダさん……」
「スタンドプレーだけは御法度だぞ、二人共」
「…はい」
「解りました…」

部屋を出てから、ススムはダイスケと顔を見合わせた。
そして思わず苦笑を浮かべる。
互いに後悔は無かった。

サナダの様な知恵巡りは出来ないだろうが、
自分達には正義の心と信念が有る。
そして、互いの絆が確かに有る。
それを確認した出来事であった。

* * * * * *

再び、関所の前。
相変わらず門番が厳しい目で
通行者の手元を確認している。

「やはり通行書が必要か…」
「そうみたいですね…。
 偽造した物も出回っている様ですが、
 それを使って逮捕された者が続出したとかで…」
「流石に割印が入っているからな。
 偽造しようにも、なかなか巧妙には作れまい」

腕を組み、サナダは知恵を巡らせる。
通行書を手に入れる作戦は巧く行かない。
ならば、次の手は…。

「門番さえどうにか出来ればなぁ…。
 やはり囮作戦が有効か?」
「…その様だ。
 問題は誰が囮になるかだが……」
「あら? 何の御相談事?」

其処に現れたのは一人の女性だった。
陶器の様に美しい肌が
薄い黒色の衣から見え隠れしている。
日中だと更にその妖艶さがはっきりとしていた。
そう、昨晩の女性その人だ。

「貴女は…」
「昨夜はお礼も出来ずに御免なさいね。
 お仲間の方が来られたものだから
 迷惑になってはいけないと思ったの」
「それなら大丈夫です。
 貴女も御無事で良かった」
「うふふ、まだ若いのに紳士なのね」

女性はススムに優しく微笑みかけると
視線を関所へと向けた。

「迷惑なのよね、アレ…」
「御存知なんですか?」
「えぇ。私、流れの紋章師なの。
 色んな場所へ行って、色んな人と触れ合うのが好きでね。
 だけどここ2〜3日かしら。
 あんな風に関所を止めて、通行制限を強いてるの」
「ここ2〜3日…」

間違い無い。
やはり帝国は自分達を捕まえる為に関所を強化したのだ。
早く此処から出なければ、捕縛は時間の問題。
ススムは思わず表情を曇らせた。

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SITE UP・2011.08.10 ©森本 樹

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