Unbekannte Welt・1

アカツキ帝国領を出れば
寧ろ旅は快適そのものだった。

少なくとも…
常時神経を尖らせずに済むのだから、
笑顔も自然と増えるというもの。
屋根の有る場所で眠れる訳でも無いのに
それでも安心する事が出来た。
心配していた野党の強襲だが
今に至る迄 その気配すら無かった。

「このまま群島諸国迄
 無事に辿り着ければ良いんだが」
「流石に其処迄
 帝国も甘くは無いだろうさ」
「…だよな」

荒廃した街の跡地を散策しながら
ススムはダイスケに声を掛けた。

「サナダさんの話だと
 ハルモニア神聖国も
 迫って来ているんだろう?」
「ハルモニア…か。
 話には聞いた事が有るけど
 どんな国なのか解り難いよな」
「…まぁな。
 実は俺も良く知らないんだ」
「ススム、行った事無いのか?」
「俺が生まれた時には
 既に帝国と戦争状態だったからね。
 流石に無理だって」
「…そうか。そうなんだ……」
「役に立てなくて御免」
「いや…そうじゃないよ。
 外の世界について
 俺は余りにも何も知らないから」
「ダイスケ……」

不意にダイスケは
自身の右手に視線を落とした。

「大丈夫だよ、ダイスケ」
「…ススム?」
「大丈夫だ。
 俺達は必ず群島諸国に
 辿り着いてみせるんだから。
 ダイスケは心配しなくても大丈夫!」
「…群島諸国か。
 一体、どんな所なんだろうな」

話題を変えようとしたのだろう。
ダイスケはそう呟き、笑顔を見せた。

自分の思いを受け入れ、更にススムを思い遣る。
そんなダイスケの優しさに
ススムは今更ながらに感謝していた。

* * * * * *

オキタは周辺を見渡し
ゆっくりと目を細めて空を見上げた。

「あのガミラス帝国が
 まさかこの様な姿になるとは……」

生気を全く感じさせない嘗ての街。
此処はガミラス帝国の首都ルルノイエ。

「やはり…この国を滅ぼした目的は
 【真なる16の紋章】の存在か…」

思わず溜息が漏れる。
愚かな戦いの火種となる【真なる16の紋章】。
そしてその3つの紋章は…
今現在、このキャラバンに存在している。

「そうなると…急いでこの場を離れればなるまい。
 もう少し歩を緩めてやりたい所だが
 ガミラス帝国は南にアカツキ帝国、
 北にハルモニア神聖国が隣接している。
 明日にも此処を発ち、グラスランドに向かわねば…」

どんな事が遭っても
あの双子だけは守ってやらねばならない。
それが嘗て交わした【約束】なのだから。
紋章と共に生き、紋章の存在を守り続けた
シンダル族、最後の一人として。

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SITE UP・2013.01.08 ©森本 樹

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