Unbekannte Welt・2

「ん?」

ふと背後に気配を感じた。
オキタがゆっくり振り返ると
其処にはユキが不安そうに立っていた。

「ユキか。どうした?」
「夕餉の支度が出来ました」
「そうか。知らせに来てくれたんだね。
 有難う、ユキ」
「……」
「ん? どうしたんだい、ユキ?」
「…父さん」
「大丈夫だよ、ユキ。
 ダイスケもジロウも…
 必ず我々が守るのだから」
「父さん…。あの人は…?」
「あの人?」

それが誰を指しているのか暫し思案したが
やがてオキタは微笑を浮かべるとこう言った。

「ススムかい?」
「……」

声は無いが、ユキは静かに頷く。
どうやら、当たりだったらしい。

「そうか。気になるのか、ススムの事が」
「…心配なの」
「どうして?」
「ダイスケが…あの人の事を
 信じ過ぎているから……」
「ダイスケならば大丈夫だよ。
 あの子の【人を見抜く目】は確かだ」
「……」
「信じてやりなさい、ユキ。
 お前の大切な弟だ」
「…はい」

胸の痞えが取れたのか
ユキは漸く微笑を浮かべた。

* * * * * *

「不気味だな」

サナダの独り言に対し
アキラとジロウは顔を見合わせた。

「何がですか? サナダさん」
「ガミラス帝国領に入ってから
 まるで音沙汰が無い。
 盗賊すら居ない。
 街そのものが死んでしまったかの様だ」
「死の街…ですか……」

ジロウはそう呟くと
思わず自分の右手の甲を見つめた。

「紋章の所為…なんでしょうか?」
「そうかも知れん…。
 だが、この荒れ方は
 どうもただ事ではない気がする」
「と、申しますと?」
「人ならざるモノの所業に近い」
「人ならざるモノ…。
 異形のモノが、この街を?」
「うむ…」
「しかし、どうしてその異形のモノが?」
「…それが解らん。
 異形のモノ、つまり奴等はモンスターだ。
 群れを成して人を襲う事は有るが…
 この街の襲い方を見るに、統制が取れている。
 モンスターの軍に襲われた、とも言える破壊の痕跡だ」
「モンスターの軍……」
「……」

サナダは周囲を黙って見つめている。
アキラとジロウもそれに倣った。

「明日には早々にもガミラス領を抜けるとするか。
 モンスターが潜んでいるとなると話は別だ。
 流石にキャラバンでは太刀打ちが困難となる」
「多少、急がないといけませんね…」
「うむ…」
「父さんに話をしてきましょうか?」
「頼めるか、ジロウ?」
「はい、任せて下さい」

ジロウは一礼すると
そのまま足早にオキタの元へと向かった。

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SITE UP・2013.01.10 ©森本 樹

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