翌日、陽が昇ると同時にキャラバンは出発した。
次の目的地はガミラスとグラスランドの国境。
グラスランドに抜ける迄、あと少しである。
「どうやら問題無くグラスランドに着きそうだな」
「…着ければ、な」
「え?」
ススムの呟きに対し即座に反応したのはサナダだった。
然も何処か含みを持たせて。
「グラスランドには着けないんですか?」
「目の前迄は迫れるだろう。
だが、元ガミラス領の北部は
ハルモニアの軍勢が待機していると聞く」
「モラビアの様に巧く抜けなければならないのか…」
「まぁ、行って見なければ判らないよ。
モラビアの砦の様な関所を構えているのかどうか」
「ダイスケ…」
「話を聞く限り、元々はガミラスとグラスランドの境だろう?
ガミラスが滅んだのは此処最近の話だと聞いたし、
そんなに直ぐモラビアの様な要塞を作れるとは思えないんだが…」
「全ては行って見てからの話、か…」
一喜一憂するのは自分ばかりで周囲は寧ろ冷静沈着。
ススムは何となく、自分が恥ずかしくなってしまった様だ。
『追われる立場…か。以前は考えた事も無かったよな。
こうしてキャラバンの一員になって、滅びた国の有様を見て…
釈然としない物を感じ取って…。
その先に何が有るのか、見極めないといけないんだろうな』
目指す物は果たして群島諸国に存在するのだろうか。
自分達は其処に辿り着く事が可能なのだろうか。
不安は尽きない。
それは、止むを得ない事であろう。
* * * * * *
カレリア。
グラスランドとガミラスの国境付近に存在する
ハルモニア神聖国の一都市。
「此処を抜ければ晴れてグラスランド…だけど
何やら物騒な街だな……」
「そりゃそうさ。
此処にはハルモニアに雇われた傭兵が
わんさと集まってるんだから」
「?!」
いつの間に立っていたのだろうか。
金の髪を短く切り揃えた優男が
ススムの直ぐ後ろで微笑んでいる。
殺気は無いが、正体が掴めない。
「誰だよ、お前は?」
「名前はナッシュ。ナッシュ=クロービス」
「ナッシュ、ねぇ…」
「そう、宜しくな」
「そうじゃなくって!」
「余り大声を出さない方が良いぜ。
ほら、周りが変な目でこっちを見てるだろ?」
「う……」
「で、君の名前は?」
「…ススム」
「へぇ〜、良い名前だね」
ナッシュはそう言うと、
人懐こい笑みを浮かべて軽くウィンクした。
「これからグラスランドに向かいたいんだけどさ。
一つ、頼まれてくれないかな?」 |