Unbekannte Welt・5

「で、次のキャラバン」

短く黒髪を切り揃えた女性の傭兵が
ススム達の集団を見つめている。

「グラスランドにねぇ…。
 何の用件で? 行商?」

彼女はオキタと何やら遣り取りをしている様だ。
行商に見えているのだとすれば
この先も巧く擦り抜けられそうである。
光明が射してきた、とススムは感じていた。

「クイーン」
「あぁ、ゲド。
 このキャラバン、グラスランドに行商だそうだけど…」
「ハルモニアの方から確認を強化しろと通達が入って来た」
「え? じゃあ今からかい?」
「そう云う事だな」

ゲドと呼ばれる眼帯をした大男は
この傭兵団を率いている責任者の様だ。
その口から語られる【確認の強化】に
キャラバンの面々は不安げな表情を浮かべる。
やはりハルモニア神聖国側も
このキャラバンの行方を追っていると確信出来たからだ。

『どうする?』
『やはり強引に突破するしか…』
『失敗したら? 全てが御破算だぞ?』
『しかし、追っ手に囲まれてからでは…』

考えが纏まらない。
今回はジーンの応援を期待する訳にもいかない。
自力で乗り越えるしかないのだ。

「ん?」

不意にゲドは片目を凝らしてグラスランド側を見つめた。
何かを発見した様である。

「クイーン」
「はいよ、何だい?」
「確認は後だ。来てくれ」
「…解ったよ、ゲド。
 あんた達、悪いけど暫く此処で待ってておくれ」

ゲドは素早く仲間に声を掛けると
足早にグラスランド側の境界へと進んだ。

「俺達も行こう!
 何か嫌な胸騒ぎがするんだ」
「あ、ススム!!」

ゲド達の後を追う様にススムが、そしてダイスケが走り出す。

「ススム様!」
「兄さん!」
「仕方が無いなぁ〜、もう!」
「俺も待つのは性に合わねぇ!
 行ってくるぜ、村長!!」

アキラ、ジロウ、アルフォン、そしてサイトウが後に続く。
苦虫を潰した様な表情のサナダに
ナッシュは足音を立てず近付いて呟いた。

「…キナ臭いと思わないかい?」
「ふん、やはり気付いたか」
「どこも彼処も戦乱の真っ只中だよ。
 誰かがこの戦乱を治めない限り
 この地上に安住の場所は存在しない」
「……」
「ススムだったね。
 あの子は良い目をしている。
 兄とは違い、権威に負けない
 力強い瞳の輝きだ」
「ナッシュ…」
「解ってるよ。これ以上口は挟まない。
 だが、あのまま彼等だけ行かせるのは
 得策とは思えないよ」
「策が有ると言うのか?」
「君と俺が組めば、可能だと思うね。
 後は此処に居る面々と…さっきの傭兵さん達か」

ナッシュの無邪気な笑みに
サナダもニヒルな微笑で返した。

[4]  web拍手 by FC2   [6]



SITE UP・2013.03.12 ©森本 樹

【書庫】目次