Unbekannte Welt・6

褐色の肌と淡い金色の髪をした少年。
恐らくはグラスランドの部族の子供だろう。
体の所々に火傷と怪我を残しながら
懸命に此方に走って来ている。

「大丈夫かっ?!」

後から駆けて来たにも関わらず
ススムはゲドを追い抜き、少年を抱きかかえていた。

「ちょ、お前! 大将〜!」
「ゲド…」
「暫く、様子を見よう。
 良いな。エース、クイーン」
「「…了解」」

「君! おい、君!
 大丈夫か? しっかりしろ!」
「た…助けて…。
 お願い、俺の村を…助けて…」
「村? 村は何処に?」
「ススム、先ずは治療が先だ」
「あ…あぁ。おくすり、有ったかな…?」

ススム達の行動をそれ迄黙って見つめていたゲドが
エースと呼ばれる中年の傭兵に声を掛ける。

「エース、使ってやれ」
「やれやれ、大将の気紛れが出たよ…」

エースはそのまま臆する事無く
ススム達の人の輪の中に入っていく。

「この程度の怪我なら、
 魔法で治した方が安上がりってもんだ。
 水よ、我に答えよ。【ディア】!」
「癒しの魔法…」

少年に降り注がれる温かな雨。
それが体に浸透すると、火傷の痕や傷が綺麗に消えた。

「坊主、これでもう大丈夫だ。
 さぁ、何が遭ったのか話してくれるな?」
「俺の…俺の村、カラヤクランに
 【鉄仮面】共が押し寄せて来たんだ。
 俺、族長の命令で此処の人に助けを求めろって
 ルルと一緒に……」
「ルル? でも、君しか見当たらなかったけど…」
「ルルは俺の幼馴染で、弟分で、
 でも…途中ではぐれちゃって……」
「俺はススム。君、名前は?」
「…ヒューゴ」
「じゃあ、ヒューゴ。今から村に向かおう!」
「本当に来てくれるのっ?!」
「あぁ!!」
「おい、ちょーっと待てぇーーー!!」

驚いたのはエースである。
思わず声を張り上げてしまった程だ。

「お前等! そんな事を言って
 検問を擦り抜けるつもりじゃねぇだろうな?」
「今はそんな事言ってる場合じゃないだろう?
 ヒューゴの村が危ないんだ!
 急いで助けに行かないとっ!!」
「だ〜か〜らぁ〜!!」
「待て、エース」
「大将〜! 大将からも何とか言って下さいよ!」

ゲドはススムを真っ直ぐに見つめている。
ススムも又、視線を逸らす事無くゲドを見つめる。

「逃げる気は無いと言うのだな」
「はい」
「証拠は出せるか?」
「それは…」
「無いと言うのか?」
「…ならば、キャラバンを人質に」
「ダイスケっ?!」
「これが証拠です。俺達は必ず此処に戻って来ます。
 それで宜しいですか? 守備隊長殿」
「……」
「ダイスケ…お前、そんな事を勝手に……」
「時間が無い。そうだろう?」

ゲドは何も言わず、
今度はススムとダイスケの二人を見つめていた。

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SITE UP・2013.03.22 ©森本 樹

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