「…許可しよう」
ゲドの口から出た発言に
その場の誰もが我が耳を疑った。
「ゲド!」
「大将!!」
「時間が無いのだろう? 急げ」
「…有難う御座います、ゲドさん!」
「ヒューゴ、道案内を頼む」
「解った! こっちだよ!!」
ススム達はヒューゴの導きで
遂にグラスランドの地へ足を踏み入れた。
そしてそのまま、ヒューゴの故郷である
カラヤクランへと向かう。
「ゲド…何故行かせた?」
「……」
「ふふ、ゲドらしいじゃないか。なぁ、クイーン?」
「ジョーカー…」
ジョーカーと呼ばれた辮髪の男は
小さく何度か笑い声を洩らしている。
「あの小僧の言っていた【鉄仮面】は
ゼクセン騎士団の事を意味しておるんだろう?
だとすれば、友好関係にある
ハルモニアに雇われた我々が加勢に行けばどうなる?」
「…成程、そう言う事か」
「ハルモニアから、そろそろ足を洗う時期かも知れんな。
どうも此処の所、【火】が臭うんじゃ」
「いずれはそうなるさ。時期次第でな」
「まぁ、金さえ貰えれば何処に付こうが俺等の勝手だし」
「相変わらず金に五月蝿いのぅ、エース」
「ジジイ!テメェの酒代の所為だって言うのが解らんのか!!」
「又始まった…」
クイーンは心配そうにカラヤクランの方角を見つめる。
確かに薄っすらとだが、煙が燻っていた。
「ススムって奴…嘘は吐かない。
アイツは信用出来る」
「ジャック…」
「…アイツは自分の事よりも誰かの為に戦う人間だ」
「そうかも知れんな」
「ゲド…。約束の方はどうするんだい?」
「約束?」
「人質の件さ。あのダイスケって子が提案した…」
「俺はそんな約束をした覚えは無い」
ゲドの発言に、クイーンは安堵の表情を浮かべた。
出来れば人質を採りたくはない。
そう思っていたからだろう。
「騎士団相手だと苦戦は必至だ。
キャラバンにもその旨は伝えた方が良い。
俺達は宿舎に戻り、彼等にこの事実を伝えるぞ」
「「了解!!」」
ゲド達傭兵団は再びカレリアへと戻った。
* * * * * *
炎に包まれたカラヤクランはススム達に悪夢を思い起こさせた。
忘れ去られし村の焼き討ち。
怒りが、悔しさが心に広がっていくのを止められない。
「うわぁーーーっ!!」
里を炎で包まれたヒューゴの思いはそれ以上だった。
腰に携えた半月刀を抜き、無謀にも突撃を試みる。
「援護しろっ!!」
ダイスケの声にジロウは弓で牽制を始める。
それに倣い、アキラも自身のショートボーガンを構えた。
数居る軍勢を勢いで蹴散らし、村の中心部へと進む。
ススムも、ヒューゴも、ダイスケも
彼等7人、誰一人怯む者は居なかった。 |