[14] 銃撃戦の果て

『平和』、なんて言葉は
現状を知らない人間こそが吐ける言葉…
なのかも知れない。

今日も大門軍団は拳銃取引の情報を聞きつけ
廃屋の工場跡地へ向かって行った。

「この前の麻薬取引は結局ガセだったからなぁ…」
鳩村が刀の上で愚痴っている。

「偶に有るのよ、ガセネタ。
 僕達必死で捜査してるのにねぇ〜」
「はいはい、文句言わない言わない。
 結局ガセだったから良かったと思わないと」
「リキさんは大人だからそう思えるんですよ。
 正直俺なんて堪らねぇや」
「ハト、暴れたいだけなんじゃねぇの?」
松田の隣で源田がクックッと笑いを堪えている。

「一兵も暴れたいのかしら?」
咲樹の一言に思わず大笑いする北条。

「一兵さんが? そりゃ無い無い!!」
「ちょ…、そりゃ言い過ぎじゃないの?」
無線内は賑やかだ。

「大さん、今回もガセなら有り難いんですがね…」
「判りません。…全員、気を引き締めて掛る様に」
念の為、と大門は苦言を呈す。

「ラジャ」
「了解」
「解りました!」

元気な返事が戻ってくる。
このまま無事に帰る事が出来れば。
いつも大門はその事ばかり思う。
現場に向かう度、いつも。

* * * * * *

「タレコミでは此処の筈ですが…」
谷がそう言うと、数人の人影を確認する。

「間違い無さそうですね、団長」
「よし。リキ、ゲンと谷さんと共に右に回れ。
 ハト、ジョーと中央突破。
 一兵は咲樹と共に左を抑えろ」
「解りました」
全員が一斉に移動する。

正に今、その瞬間が訪れた時。

「西部署だ!」
大門が大きな声で牽制する。

怯む人影。
鳩村と北条はその声を合図に中央突破を計る。
左右の組は援護射撃。
すると向こうも漸く応戦してきた。

激しい銃撃戦が展開される。
大門のレミントンが火を噴き、
一人、又 一人と倒されていった。

* * * * * *

「うわぁ〜、すげぇ数のライフルだな…」
箱の中身を確認したハトが
思わず溜息を吐く。

「かなりの大物ッスね」
「まぁな…」

銃撃戦が一休止し、
2人は改めて銃の梱包された箱を数える。

20箱。

その中にライフルは
幾つ詰められているのか検討も付かない。

「どれどれ…運ぶのも一苦労だな」
「そうですね…」

谷の言葉に相槌を打った瞬間、
咲樹は何かが光るのを目撃した。

「!」

一人残っていた。
銃口が此方を向いている。

「伏せて!」
咲樹の叫びに全員が素早く反応する。

最初の一撃は防げたものの、
次の銃口は咲樹に向けられていた。

「咲樹さんっ!!」
迷わず真っ先に飛び込んだのは北条だった。

彼女の前に飛び出し、
そのまま彼女を抱き寄せて地面に伏せる。

瞬間、右肩に激痛が走った。
掠ったとは云え、被弾したのだから痛みはある。

「くっ!」
「ジョー!」
大門が声を発する。

「この野郎っ!!」
怒りの鳩村が犯人に発砲。

拳銃を弾き落とすと
源田と松田が逮捕に向かった。

「大丈夫か、ジョー?」
「これ位平気です。それよりも咲樹さん…」
「……」

咲樹は何が起こったのか
解らない顔をしていたが
北条の右肩に滲む血を見た瞬間
顔を青褪めさせた。

「…さん」
「えっ?」
「お父さん…。お父さんっ!!」
「ちょ…一寸待って…」
「お父さんっ!!」

北条を強く抱き締めたまま
咲樹は訳の解らない叫びを発していた。

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SITE UP・2009.3.7 ©森本 樹

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