| [21] 覗き見 |
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「何処に行こうか?」 明子の問い掛けに咲樹は苦笑いを浮かべる。 「毎日捜査捜査で こう云うのって本当に疎いのよね、私。 だからアコちゃん、エスコートしてくれない?」 「良いわよ! じゃあまずは軽くショッピングからね」 「楽しみ〜!」 こうして見ると落ち着いているとは言え 咲樹も年相応の女性である。 偶には買い物やお喋りもしたいだろうに。 それらを捨てて迄選んだ仕事。 彼女の決意を唯一人知る北条は 心がズキンと鈍く痛むのを感じていた。 出来る事なら解放してやりたい。 普通の、年相応の女性の生活に帰してやりたい。 そう願うのは…傲慢だろうか。 北条の心の葛藤など気にする事も無く 他のメンバーは楽しそうに観察中だ。 最初は反対していたはずの松田まで 雰囲気を楽しむ始末。 「やれやれ…」 北条は溜息を吐くと 胸ポケットから煙草を取り出した。 「可愛いわね、この服」 嬉しそうな顔で咲樹は ウィンドウショッピングを楽しんでいる。 その横顔をじっと見つめる明子。 綺麗に整った、女も羨む横顔だ。 こんな表情も出来たんだな、と 感慨深げに眺めている。 「? アコちゃん?」 「え? 何?」 「どうしたの?」 「うぅ〜ん、何でもない。 咲樹ちゃんって綺麗だなぁ〜って」 「ヤだ…。お世辞でも嬉しい!」 「お世辞じゃないってば」 楽しそうな声が店内から聞こえてくる。 「アコちゃん、可愛いよなぁ〜」 「ゲンちゃん、さっきからそればっかり」 「お前も彼女が出来たらそう思うって」 「ゲンちゃんの彼女じゃないでしょ? 団長が聞いたら怒るよ」 「…それを言うな、一兵」 源田と平尾はこれまた楽しそうに話している。 「咲樹ってスカート似合うな。 なかなか拝めないのが勿体ない」 「まぁ、現場でスカートじゃ無理だろ。 捜査の邪魔になる」 「色気無いな、リキさん」 「現状を言ったまで。 だが、非番となると話は別だ」 松田はそう言って笑みを浮かべる。 「な、ジョー?」 「……」 北条は何も言わず 静かに咲樹を見つめていた。 見取れていた、と云っても良い。 頬がほんのりと朱に染まったまま ただ一点をジッと見つめている。 「…お子様」 松田はそう言って苦笑を浮かべた。 鳩村も声を掛けず そんな北条を見つめる。 複雑な心境だった。 咲樹の事を想うのを 負けているとは感じていない。 だが、北条の真剣な眼差しを見ていると 何処かで怯む自分が居る。 「…負けてたまるか」 小さな声で、鳩村はそうゴチた。 |