[25] 罠・1

付近への聞き込みを開始するも、
桐生の言う様な情報は依然として入って来ない。

「リュウさん、ガセ掴まされたんじゃ…」
「少なくても、貴方の先輩は
 そんなに間の抜けた刑事じゃないんでしょ?
 もっと信用してあげなさいよ」
黒パトの中、咲樹の言葉に項垂れる北条。

「信じてるよ。そりゃ…」
「じゃあ変な事は言わずに
 運転に専念して」
「了解〜」

車を流していると突然何かの影を見つけ、
北条は慌てて急ブレーキを掛ける。

「何っ?!」
「飛び出しだ。子供…」
「無事なの?」
「その筈だ!」

二人は慌てて車から飛び出す。

ボールを追いかけて路上に飛び出したのだろう。
何が起こったのか解らず
少女は二人を見渡している。

「怪我は無い?」
目線を子供の背丈に合わせ、
咲樹はそう言って微笑む。

「うん」
「御免な、驚いたろ?」
「ううん。平気」
少女はそう言って笑っている。

外傷も無い。
本当に大丈夫な様だ。

「とにかく此処は危ないから
 公園に戻ろうね」

二人はそう言うと少女と共に
公園へと向かった。

* * * * * *

ひっそりと静まり返った公園。
此処で一人遊んでいたのだろうか。

「お母さんは?」
咲樹の問い掛けに少女は無邪気に答えた。
「お仕事」
「共働きか。最近増えてるんだな」
「そうね…」

「そろそろ戻るか」
「ん…」

少女の事は気に掛かるが
今は捜査中である。
後ろ髪を惹かれる思いで二人は黒パトに戻る。

その直後だった。

「キャアーーっ!!」

先程の少女の悲鳴。

「咲樹!」
「うん!」
二人は拳銃を取り出し、少女の元に向かう。

少女は何者かによって連れ去られそうになっていた。

「警察だ! 止まれっ!!」
素早く北条が拳銃を構える。

男は大人しく立ち止まる。
が、口元は怪しい笑みを浮かべていた。

「?」
その意味を知るのは直後だった。

「拳銃を捨てな、刑事さん達」
いつの間に近付いたのか、
二人の頭に銃を突きつける複数の男達。

「ガキの命が惜しいだろう?
 言う通りにしな」
「ジョー…」
「聞くしか…ねぇな」
不安げな咲樹の言葉に、
北条は返答した。
静かに二人はコルトローマンを手放す。

「ぐっ!」
その瞬間、北条は頭部をグリップで殴られた。

「ジョー!」
「動くな。こいつの脳味噌吹っ飛ばすぞ」
「…何が目的なの?」
「さてね…」

足元で蹲る北条。
咲樹は只、見つめる事しか出来ずにいた。

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SITE UP・2005.03.22 ©森本 樹

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