| [26] 罠・2 |
|---|
|
手錠で繋がれた両手を天井から吊るされ、 北条はサンドバック状態だった。 それでも呻き声一つあげない。 意地でもあった。 全て相手の思う通りに等なりたくない。 懸命に痛みを堪え、 相手を睨み付ける。 「つまらんな、叫び声一つ上げない様じゃ」 男の一人が徐に取り出した拳銃を 咲樹と少女に向ける。 北条の形相が変わった。 「こいつ等撃たれたくなかったら 悲鳴の一つでも上げてみろや」 再び鉄パイプの衝撃が腹部を襲う。 「ぐはっ!」 我慢していた物が急き立てる様に壊れていく。 一度吐き出した呻き声はもう防げない。 苦痛の叫びを上げ続ける北条を目にし、 咲樹は少女をグッと抱き締めた。 「…何が狙いなの?」 気丈な言葉だが、 声は震えていた。 無理も無い。 目の前の残状を見れば。 「取引だよ。 精々利用させて貰うぜ。 西部署の刑事さん達よ」 咲樹は愕然とした。 自分達の正体を知っている。 これは罠だと直感した。 だが、大門達に伝える術が無い。 『落ち着いて考えるのよ。 きっと突破口がある筈…』 少女を抱き締めながら 咲樹は懸命に冷静さを取り戻そうとしていた。 「連絡が取れない?」 大門は無線でその事を知った。 「はい。ジョーの黒パトは見つかったんですが 姫と共に姿を消してます」 「目撃者は?」 「ありません」 「…」 「団長?」 「リキ、お前はジョーと咲樹を探してくれ。 他の皆は引き続き聞き込みだ」 無線で的確に指示を飛ばす大門。 嫌な予感が胸を過ぎる。 「取引と、関係が有るのか? あの二人が何の連絡も無く姿を消す筈が無い」 大門はそう呟くと煙草を銜えた。 「ぐぁーーーっ!!」 何度かの絶叫の後、 北条は激しく痙攣を起こした。 「ジョーッ!!」 咲樹の叫びが部屋中に響く。 その声に答える様子は無い。 静かに時間だけが過ぎていく。 「…」 男の一人が強引に髪を掴み、 北条の表情を確認した。 「気絶しやがったか」 その言葉に一瞬だが胸を撫で下ろす咲樹。 地獄のような時間は 漸く終焉を迎えたかに見えた。 |