[37] 決着

組織の者が次々と倒れていく中、
数名は船に向かって駆け出していく。
恐らく幹部クラスだろう。
逃がす訳には行かない。

「ジョーの仇だ!!」
鳩村は刀に跨り、
突き進む大門と桐生を援護していた。
刀の動きに邪魔され、
思う様に船に近付けない。
焦る銃口が鳩村に向く。

「SWATっ!!」
桐生は咄嗟にその銃を撃ち落した。
そして素早く駆け寄り
パンチを数発浴びせる。

「貴様…権藤…っ!」
「…ちっ」
「そうか…。
 この茶番劇、
 貴様の差し金か…」
「パリでの借りを返すつもりが、
 なんて様だ」
「だから俺を狙ったのか」
「アッチではあんた一人に
 組織のルートを潰された。
 だから此処で
 アンタの息の根を止める手筈だった。
 治外法権でインターポールは動けないからな」
「日本の警察を舐めてもらっちゃ困る」
「…大門軍団か」
権藤は悔しそうに歯噛みをした。

「助かったぜ、インターポール。
 それにしても『SWAT』はねぇだろ?」
「鳩村…だったな。
 咄嗟に呼んじまっただけだ」
「…気にしてないぜ、リュウ」
鳩村はウィンクを返す。
そして桐生も
権藤に手錠を填め、
ウィンクを返した。

残りの部下達も戦意喪失したのか
大人しく投降して来た。
ヘロイン密輸を隠れ蓑にした
桐生暗殺計画は
大門軍団のチームワークによって
見事に御破算となった。

* * * * * *

西部署。

刑事部屋では静かに話が続いていた。
あの後、室井も逮捕し
事件そのものは一件落着した。

奪われた金塊も1億円の身代金も取り戻した。

ただ…。

仮眠室で眠り続ける北条と
それを見守る咲樹の事は
誰もが遠慮して口を挟まなかった。
挟めなかった。

北条が回復しない限り
本当の解決にはならないのだ。
そして、ペイ中の恐ろしさは
これから始まる事も解っている。

それでも大門は咲樹に託した。
北条の事を。

「団長…」
「何だ、リキ?」
「姫は…乗り越えられますかね?」
「乗り越えるさ。
 彼女はその為に刑事になったんだ」
「…そうなんですか?」
「まぁな…」
「そうですか…」

今は大門だけが知る咲樹の過去。
そして彼女の夢。
いつか木暮が話した
咲樹の事情。
今回の一件はそれら全てを
乗り越える為の試練の一つなのだと、
大門は信じていた。

「乗り越えられる…。
 それだけの強さを…
 アイツは持っている筈だ」
大門の呟きに松田は黙って頷いていた。

「信じましょう。
 あの2人を…」
そっと近付いてきた谷が
微笑みながらそう語った。

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SITE UP・2005.04.25 ©森本 樹

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