| [43] 苦悩 |
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「越川の釈放と無差別攻撃…」 「本庁は越川を釈放しないって言うし、 このままじゃ団長は…くそっ!!」 本庁と犯人との間で 大門は窮地に立たされていた。 日夜続くマスコミとの攻防。 人権無視と罵倒され、 それでも釈放出来ないもどかしさ。 「…ラーメン、食わないか?」 そう若手を誘ったのは松田だった。 「屋台で?」 「そう」 「…良いねぇ。乗った」 源田は屈託の無い笑みを浮かべる。 「俺も、久々に食いたくなった」 「じゃあ…僕も…」 「俺も良いッすか?」 「おぅ。…咲樹、どうする?」 「行くわ。勿論、リキさんの奢りでしょ?」 「チャッカリしてるな、姫は」 咲樹の髪をそっと撫でる松田の表情が 酷く重かった。 皆、何かを感じ取っている。 何とか出来ないか、と。 「……」 誰もが重い口を開けずにいた。 頭の中は 責任感と本庁の間に板挟みとなっている 大門の事しかない。 「団長…」 松田の呟きに、源田が返事をした。 「伸びちまうぜ…リキ」 「あぁ…」 皆、同じ思いだ。 だからこうして此処に居る。 松田、源田、鳩村、平尾、北条。 そして…咲樹。 誰もが現状から大門を助け出したいと思っていた。 越川さえ釈放出来れば。 答えは出ている。 だが…その答えが果たせない。 「ジレンマ…だよな」 鳩村の呟きに静かに咲樹は頷いた。 「このままでも結果は見えてる。 本庁って何考えてるんですかね?」 「…一兵さん」 「だってさ、ジョー。 何の為に僕達警察が居る訳? 本庁の威信の為? 違うでしょ?」 「それは…」 苛立ちは誰もが同じだ。 特に松田は腹立たしかった。 そんな所で骨を埋めたくない。 やはり自分には西部署、大門軍団しかないと。 彼の決意は固まっていた。 何が何でも大門を救い出す。 現状から、彼を助け出す。 それが自分に出来る恩返しだと。 但し、それは成功したらの話だ。 失敗すれば…。 又、松田は思い悩んでしまった。 どう切り出せば良いのか。 自分一人では出来ないこの計画。 仲間達を巻き込んでも良いのか、と。 「リキさん…?」 「ん? どうした、姫?」 「伸びてますよ、ラーメン。 それに…胡椒そんなに入れて…」 「…はは、ボケたかな?」 苦笑いを浮かべ、 松田は胡椒だらけのラーメンを啜った。 「体壊すぜ、リキ…」 「偶には刺激が有って良いんだよ。 良い汗かけるぜ」 「遠慮しておく。 胃を壊しそうだ」 「ゲンちゃん、丈夫そうなのに」 「コイツは体しか取り得が無いからな。 人一倍健康に気を使ってるんだろ?」 「ゲンさんらしいっすね」 「お前等、寄って集って人を何だと…っ!!」 屋台では賑やかさが戻りつつあった。 だが咲樹には松田の暗い影が ちらついて仕方が無かった。 |