Perfect Crime・2

「北条君はどうなっとるのかね?
 二日も無断欠勤なんて!!」
二宮係長の甲高い声が刑事部屋に木霊する。

「家には戻ってないようです」
「全く、何処ほっつき歩いてるんだか…」
「何か事件にでも巻き込まれたんじゃないすか?」
鳩村は少し語尾を荒げて発言した。

「な…」
「ジョーの奴が無断欠勤なんてありえない。
 そう言ったんですよ」
「そうだな。アイツに限って…」
鳩村の言葉に松田が賛同する。

「何か事件を追ってた、とか?」
「いや、俺はそんな話聞いてないぞ一兵」
「…ゲンちゃん。
 それじゃやっぱり巻き込まれたんじゃ…」
「あぁ…」

重い空気が一面を覆う。
大門は黙って部下達の言葉を聞いていた。
そんな時。

ジリリーーーン

「電話」
松田に声を掛けられ、
源田が受話器を取った。

「はい、西部署…」
一同が電話に視線を集める。
「判りました」

ガチャン

電話を置くと、静かに源田は声を発した。
「殺しです。
 場所は京浜埠頭。
 ガイシャは20代の女性、とかで…」
「それで?」
大門は源田の言葉に曇りが有るのを見逃さなかった。

「その…ガイシャが、
 ジョーのGジャンを抱き締めて死んでいたらしくて…」
「ジョーの?」
「ガイシャの方は東部署が当たってるみたいですが…」

「一寸待て、ゲン」
松田が口を挟む。
「それじゃ何か?
 そのガイシャはジョーに殺されたって言いたいのか?」
「東部署はそう言ってる」
「馬鹿な?!」
「俺だってそう思うよ」

腑に落ちない点が山程有った。
北条が何故女性を殺さねばならないのか。
その女性が何故北条のGジャンを抱き締めていたのか。
そして…北条は今何処に居るのか。

「東部署よりも先にジョーを捜そう」
大門の言葉に部下達は強く頷いた。

* * * * * *

気が付いたら冷凍室に閉じ込められていた。
いつの間にかGジャンが無くなっている。
半袖のシャツから出た両腕を擦りながら
北条は震えていた。

「寒い…寒い……」

声は細く、元気が無い。
殴られた頭部の痛みも治まらない。
どうして此処に居るのか、
それすらも判らない。
今が何時なのか、
時間の感覚さえも無い。

判っているのは
拉致された女性を追って此処に来た事。
そして頭部を殴られて気を失った事だけ。

「そうだ…。あの女の人は…?」

それすらも今は判らない。
助かったのか、
それとも…。

「無事で居てくれ…」

祈るように呟き、
北条は再び二の腕を擦り始めた。

寒さが全身の力を奪っていく。
眠気に襲われる。

「寝ちゃ駄目だ…。眠っちゃ……」

睡魔と疲労感、痛み。
それらと懸命に戦いながら
北条は待っていた。
仲間達の到着を。
必ず来てくれると信じて。

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SITE UP・2006.1.31 ©森本 樹

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